米国投資家に
「日本人は運用が上手い」との定評も
11月下旬、ニューヨーク・ワシントンへ出張した。そこで現地市場参加者のコメントとして最も新鮮に聞こえた言葉が、「日本人は運用がうまい」というものだった。
これは、なかでも債券を中心とした運用についてのコメントであった。米国で債券運用比率が高まっているなか、日本の投資家のプレゼンスが高まっていることも反映している。
下記の図表1は、日米の10年長期金利を示すが、米国投資家は低金利がかつてないレベルで長期化した状況での運用に慣れていないなか、どうしても運用パフォーマンスが良くならないとのコメントが多かった。
日本化現象と低金利環境
筆者が今回の米国出張で行ったプレゼンテーションのタイトルは「日本化現象」で、その内容はここ数年ストーリーラインとしてきたように、予想以上の低金利環境長期化とのメッセージだった 。筆者が行ったセミナーのキーワードは、下記の図表2である。
今年、世界的金融市場での最大イベントの1つは、欧米の長期金利が史上最低金利にあることだ。2012年半ばにかけ、米・独・英の10年長期金利はいずれも1.5%を下回る水準を記録し、これらは各国の歴史下、最低金利である。
筆者も含め、日本で長年市場分野に身を置くアナリストや投資家は、過去20~30年、欧米市場を参考としながら業務を行ってきた。
ただし、今年生じた長期金利水準は、市場に習熟した欧米市場参加者にとって全くの未体験ゾーンであり、彼らの体験や経験してきた尺度では説明が付かないというのが、筆者の米国でのプレゼンの問題提起だった。
逆に、日本では1990年代後半から全く「未体験ゾーン」での債券運用を行ってきたことの習熟が存在する。