感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』の著者が、voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」から、とっておきのアドバイス。心がスッと軽くなる“言葉の精神安定剤”で気分はスッキリ、今日がラクになる!

【精神科医が教える】頑張っても努力してもどうにもならないことはやめましょうイラスト:カツヤマケイコ

無理だと思ったら、それは無理なこと

きょうのひとことは、
「無理なものは無理と認めよう」

仕事でもプライベートでも、「これは無理だな」って思うことありますよね。

そう思ったら、その無理なことを、それこそ無理やりひっくり返さないようにしてください。

無理だと感じたら、それは無理なんです。ところが、人は無理筋なことであっても、いろいろと知恵を出して頑張ろうとしがちです。

いったんやりはじめたことをやめるのは、けっこう勇気がいることでもあります。

経営の世界では、いったんはじめたビジネスに費やした経費を惜しんで、やめる決断ができない状態を「サンクコスト(埋没費用)効果」というそうです。

「いったんやりはじめたことをやめてしまうと、それまでの努力が無駄になる」とか「やめること≒いけないこと」と罪悪感を覚える人も多いです。

「これは無理じゃない」「無理だけどなんとかする」と、自分の気持ちを曲げて、なんとか立ち向かおうとする。これは一見すると、素晴らしいチャレンジのように思えるかもしれませんが、そうではないのです。

無理なものは無理ですし、無理じゃなかったら無理だと思わないはずです。

「無理を承知でやらなきゃいけない」なんて美化してしまうこともあるのですが、無理なものは無理なのです。

そもそも、無理という言葉は、「理(ことわり)が無い」と書きます。つまり、「物事の筋道が無い」ということです。

では、どうすればいいのか。

無理なこと自体は変えられませんから、その無理なことにつき合わなくていいように自分の環境を変えることです。

無理なことにつき合わなくてもいい環境に変え、無理な事態が起こらないようにするしかありません。

無理なことは、無理じゃなくならないということを割り切ることが必要です。

もちろん、なんでもかんでも無理だから諦めるという話ではありません。

たとえば、跳び箱を5段飛ぶのは無理だと思っていたけれど、コツコツ練習したら飛べるようになったという話があります。

それはいきなり5段飛ぶのが無理なのであって、自分ができそうだと思える3段からはじめて、4段に挑み、4段が飛べるようになってから、5段に挑む。そういう無理のない挑戦によって、小さな成功体験を積み重ねて達成するものです。

それが人間の成長でもあります。

ちょっと背伸びすれば乗り越えられそうなことに対しては、無理とは思わないですよね。一方、人間が見た瞬間に「これは無理だ」と感じることは、やはり無理なんですね。

どうあがいても乗り越えられそうにない壁を一気に乗り越えようとしても、そのときはどうにもならないんです。

そして、無理なことを無理してやろうとすると、自分を痛めつけてしまいます。

無理なものは無理と認めて、「勇気ある撤退」をすることも大事なのです。

きょうのひとことは、
「無理なものは無理と認めよう」
でした。

参考になったかしら?