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コロナ禍が3年目に突入し、多くの業界や企業のビジネスをいまだに揺さぶり続けている。その対応力の差によって企業の業績は、勝ち組と負け組の格差が拡大している。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はエイチ・アイ・エス、オリエンタルランド、帝国ホテルの「観光/レジャー」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)

オリエンタルランド・帝国ホテルが
前年同期比2ケタ増収

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の観光/レジャー業界3社。対象期間は21年8~12月の直近四半期(エイチ・アイ・エスは21年8~10月期、その他2社は21年10~12月期)の直近四半期としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・エイチ・アイ・エス
 増収率:4.2%(四半期の売上高305億円)
・オリエンタルランド
 増収率:19.0%(四半期の売上高927億円)
・帝国ホテル
 増収率:16.8%(四半期の売上高94億円)

※オリエンタルランド、帝国ホテルは収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、各社の開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適応していない。

 いずれも前年同期比で増収となった観光/レジャー業界3社。しかし、新型コロナウイルス感染拡大に伴う観光業界への打撃は今もなお続いている。コロナ前と比べると、厳し過ぎる苦境が明らかとなった。

 それは、3月1日付けで創業者の澤田秀雄氏が社長を退任したエイチ・アイ・エスも例外ではない。澤田氏はグループ最高経営責任者(CEO)のポストには留任するものの、後継社長の矢田素史氏には重責がのしかかる。

 次ページでは時系列データを交えて、前年同期比では見えてこない観光/レジャー業界の3社が直面する苦境の実態を詳しく解説する。