尹錫悦氏5月に大統領の就任する尹氏は日韓関係を含めてどのような外交政策を展開していくのだろうか。尹氏は10日、大統領選の勝利を受けて、国民再統合や日韓関係改善に取り組む意欲を示したが、政治家としての手腕は未知数だ Photo:Pool/gettyimages

得票率は尹氏が48.56%、李氏が47.83%
進歩勢力、文政権継承に失敗

 韓国大統領選が3月9日に投開票され、最大野党「国民の力」と中道野党「国民の党」が推す尹錫悦(ユン・ソクヨル)元検事総長(61)が、与党「共に民主党」候補の李在明(イ・ジェミョン)前京畿道知事(57)らを破り、第20代大統領に選ばれた。

 進歩(革新)勢力は、文在寅政権からの権力継承に失敗した。

 文在寅大統領は5年前の就任演説で「私を支持しなかった国民にも仕える」「分裂と葛藤の政治を変える」と約束したが、今回の大統領選が浮き彫りにしたのは、対立し分断した韓国の姿だった。

 暫定得票率は尹氏が48.56%、李氏が47.83%。尹氏は10日午前4時前、記者団の前に姿を現すと、「夜がとても長かった」とホッとした表情を見せた。まれにみる激戦は、裏を返せば、それだけ韓国社会の分断が進んだことを示す。

 一騎打ちになった尹候補も李候補もともに保守、進歩陣営では非主流で、選挙戦では尹氏はさらに右に、李氏はさらに左へとウイングを広げることに注力、また双方が相手候補のスキャンダル暴露に力を入れたことで、深い溝が残った。