「35歳転職限界説」「メンタルダウン不採用説」というウソ

──仕事についても、理不尽な指導を?

わび:仕事も基本的に全否定でした。

「このやり方じゃダメだ」「お前は何回やってもダメなんだ」「前もダメだったよな」「お前のことだから、どうせ次もダメだろう」など、過去・現在・未来のすべてにおいて否定してくるんです。

──過去の失敗について言われるのも嫌ですが、未来の失敗を予言されるのも嫌ですよね……。そういった上司のもとで働くことになってしまった場合、どのように対処すれば良いでしょうか。

わび:一番の方法としては、物理的に距離をとること。

 パワハラのターゲットにされてしまったら、私のようにメンタルダウンして、元の状態と同じように働けるようになるまでに1年かかって……なんてこともありえます。

 まだ洗脳される前の段階で逃げないと、手遅れになる可能性もある。

──そんなにすぐに転職なんてできないよ! という意見もありそうですが。

わび:そうですね、たしかに、そういうご意見もあると思います。

 ただ、もしかしたら、「この会社を辞めたら他に行くところなんてない」という考え方こそが、パワハラ上司に洗脳された結果かもしれません。

「どうせどこに行ってもお前はダメだ」と言われ続けて、自信を失っていないか? 思い込まされていないか? と、あらためて自問自答する時間を持ったほうがいい。

パワハラされやすい人の2つの特徴Photo: Adobe Stock

 実は私も、インターネットでよく言われている「35歳転職限界説」などを信じ込んで、転職に踏み切れなかったんです。

「メンタルダウンした人は採用されにくい」という話も聞いていたので、休職したあとはよけいに不安でした。

 でも、いざ挑戦してみたら、3ヶ月ほどの勉強で、市役所に転職。その後は外資系企業に転職し、今もそこそこの年収でストレスフリーに働けています。

 私がこの本を書いたのも、そういった思い込みのせいで、行動する勇気が出ない人の背中を押したかったからなんです。

 行動してみたら案外、どうにかなることってたくさんある。

「自分には無理」「ここで働くしかない」という思い込みのせいで、仕事場にしか居場所がないというのが一番よくありません。

 重要なのは、「いつでも転職できる状態」をつくっておくこと。

 私も今現在も、常に転職活動をしていますが、それは一種の自衛手段なんです。

 上司の求める人生ではなく、他人の求める人生ではなく、自分の人生を生きるために、ひとりでも多くの人に「最強の技術」を使っていただけたらと思います。

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パワハラされやすい人の2つの特徴