仕事や人間関係…しんどいことが多い、という人にぜひ読んでもらいたいのが、『メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語る この世を生き抜く最強の技術』わび著)だ。著者のわび氏は元幹部自衛官としてエリート街道をひた走っていたが、上司のパワハラと早朝深夜の激務が重なりメンタルダウン。復職を果たした後、「出世ばかりが人生ではない」「人に認められるためではなく、もっと楽しく生きたい」と思い、転職。現在は外資系企業の社員として活躍している。自衛隊などの社会人経験で身につけた仕事術、メンタルコントロール術についてツイートした内容が人気を集め、Twitterを開始して2年半でフォロワーは12万人を突破、10万超えいいねを連発し、ネットメディアにもたびたび取り上げられている。仕事・人間関係で生き抜く知恵が詰まった本書の発売を記念し、今回は特別インタビューを実施。著者・わび氏にメンタルの整え方のコツについて聞いた。(取材・構成/川代紗生)
自衛隊の「超メンタルが強い人」の共通点
──今回の本には、メンタルの整え方のコツも数多く紹介されていましたが、どれも実践的でした。私自身も早速、日常生活に取り入れています! 無駄に落ち込んでしまう日がかなり減った気がしています。
わび:ありがとうございます。「最強の技術」とうたってはいるものの、個人の能力や性格に依存する要素は省き、再現性の高いやり方に落とし込みました。今メンタルダウンして苦しい状態にいるという人はもちろん、今後の予防対策をしておきたいという人にも、この本で紹介したコツを試してもらえたら嬉しいです。
──情緒不安定で仕事にムラがある、メンタルが弱くて落ち込みやすい、という悩みを持つ人も多いと思います。「忙しくても潰れない人」と「優秀でもメンタルが弱い人」の決定的なちがいは何だと思いますか。
わび:「メンタル自体を鍛えることはできない。ぶれないメンタルをつくる環境があるだけ」というのが私の持論です。もちろん、生まれつきメンタルが強い、という人も存在しますが、ほとんどの人は「環境」によって変わるのではないかと。
たとえば、自衛隊はどんな人でもある程度の厳しい訓練をくぐり抜けてきているので、普通の人と比べるとメンタル強めと言われています。そのなかでも、「超メンタルが強い」と言われる方々ともお会いしてきました。ただ、観察していると、彼らはメンタル自体が「強い」わけではないんですよ。あくまでも「心が折れない環境をつくる」のがうまいだけなんです。
──なるほど。環境がすべて、と。
わび:ええ。自衛隊でも実感したことですが、どんなに普段穏やかな人でも、マイナス14度の雪山で訓練をしていたりすると、別人のように豹変するんですよね。不機嫌になって、イライラを表に出すようになる。
ものすごくメンタルが強いと思っていた知人が、住む場所が変わった途端、原因不明の不調で悩まされるようになった、という話も聞きました。私も厳しい訓練を耐え抜いたり、過酷な環境で仕事をしてきましたが、ひとりの上司のパワハラでポッキリ折れてしまいました。
だから今、「メンタルが弱い」という悩みを持っている人に伝えたいのは、それはあなた自身の問題というよりもむしろ、環境に問題がある可能性が高い、ということです。自分を責め続けるのではなく、環境を改善できないか? と視点を変えてみるといいかもしれません。
航空業界で働く危機管理屋
某国立大学卒業後、陸上自衛隊幹部候補生学校に入隊。高射特科大隊で小隊長になり、その後、師団司令部や方面総監部で勤務。入隊後10年間は順風満帆だったが、早朝から深夜までの激務と上司によるパワハラが重なり、メンタルダウン。第一線からの異動を経て、「出世ばかりが人生ではない」「人に認められるためではなく、もっと楽しく生きたい」と思い、市役所に転職。激務だった自衛隊時代に比べると天国のような場所だったが、自らの成長の機会を得るため、転職後1年半で航空業界にキャリアチェンジ。給料は市役所時代の倍に跳ね上がった。自衛隊などの社会人経験で身につけたメンタルコントロール術、仕事や人間関係に対する向き合い方などを中心にツイッターで発信を開始。普通の会社員にもかかわらず、開始して2年でフォロワー数が8万人を突破。ツイートはネットニュースなどにも取り上げられ、人気を博している。2022年2月現在、Twitterフォロワーは12万人。『メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語る この世を生き抜く最強の技術』が初の著書。Twitter(@Japanese_hare)