コロナ禍が3年目に突入し、多くの業界や企業のビジネスをいまだに揺さぶり続けている。その対応力の差によって企業の業績は、勝ち組と負け組の格差が拡大している。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は大塚ホールディングスやエーザイなどの「製薬」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
塩野義製薬が
前年同期比で減収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の製薬業界5社。対象期間は21年10~12月の四半期としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・大塚ホールディングス
増収率:9.8%(四半期の売上収益3909億円)
・エーザイ
増収率:12.0%(四半期の売上収益2030億円)
・協和キリン
増収率:16.5%(四半期の売上収益983億円)
・塩野義製薬
増収率:マイナス1.9%(四半期の売上収益745億円)
・小野薬品工業
増収率:15.3%(四半期の売上収益974億円)
製薬5社のうち4社が前年同期比で増収、塩野義製薬のみが減収だった。3月16日配信の『中外製薬が製薬4社で断トツの大幅増収、立役者となった「2つの薬」とは』で取り上げた4社を含めた製薬9社で見ても、塩野義製薬が唯一の減収となっている。また、増収率の時系列推移を見ると7四半期連続の減収だ。この要因は何だったのか。
次ページ以降では、各社の増収率の時系列推移を紹介するとともに、塩野義製薬の減収要因について詳しく解説する。