動画の送り手が工夫できる、ちょっとした技とは?
「紙の資料やパワーポイントの一部を動画にするだけで、営業効率は格段に上がります」と、中村さんはホームページでの挨拶文に書いている。研修内容を伝えたり、営業トークを補佐するパワーポイントの画像も、動画には不可欠だという。
中村 私はパワーポイントの資料は、BtoB企業の最大の資産だと思っています。ただ、パワーポイントの資料をそのまま映像化しても効果はありません。それを解説する人の映像と組み合わせて、初めて分かりやすい表現になるのです。資料を説明するナレーションだけでは弱いですね。雑誌の表紙や街なかのポスターに人の顔があるように、人の視線は人に集中するもの。画面の中で人物が動いているほうが視聴者の目を引きます。パワーポイントの映像ばかりで、誰が話しているかも分からない研修動画は、受講者が眠くなるでしょう。
「研修」と聞くだけで「面倒」と感じるビジネスパーソンは多いだろう。ましてや、オンデマンドで配信される動画は「一方的」というイメージからネガティブな視聴姿勢になりがちだ。動画の送り手が工夫できることはないだろうか。
中村 たとえば、動画の最初に、研修責任者が画面に現れ、「皆さん、私は○○です。いまから、□□について、皆さんにお伝えします」と宣言し、資料のナレーション解説に入っていくのがよいでしょう。動画の送り手を明らかにして、「人」と「コンテンツ」を結びつけることが、受講者の「聞く」「見る」モチベーションを高めるのです。たとえば、新人教育の研修動画においても、「教える人」の存在が大切。その人が社内で有名であれば、「話を聞いてみたい!」となります。商品のプロモーション動画なら、商品説明を常日頃行っている営業スタッフが出演すればいいのです。必ずしも、プロの語り手が必要なわけではありません。動画制作に対して、企業の皆さんは少し難しく考えすぎなのかもしれませんね。特に研修動画となれば、力が入ってしまい、「どうしよう……」と、あたふたしてしまう。でも、社内はコンテンツの宝庫であり、その宝を語れる方にうまくしゃべってもらえば、良い研修動画ができます。