グローバル大企業は「21世紀の荘園」、富の偏在で高まる国家の“嫉妬リスク”Photo:123RF

グローバル大企業は
「21世紀の荘園」

 グローバル大企業が富や人を吸引し、巨大な社会空間を形成している。さながら、「21世紀の荘園」とも呼ばれる存在だ。富の偏在が生み出す、奇妙なマクロ的現象とも言える。

 2022年度2月末時点の時価総額ランキングでは、世界1位のアップルが2.7兆ドル(ドル円レート120円換算で324兆円)で、上位5社(アップル、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、テスラ、アルファベット)の合計は8.3兆ドル(同996兆円)という巨額さだ。

 一方、各国の政府税収(2019年)は、米国が5.3兆ドル(同636兆円)で、上位5カ国(米、日、独、仏、英)合計では10.6兆ドル(同1272兆円)だ。

 時価総額上位5社の合計が、世界の政府税収上位5カ国の合計に比肩している。世界の中堅以下の国家にとって、グローバル大企業は、国家を上回る存在となっている。