吉林省、上海市、深セン市などを皮切りに、急速に新型コロナウイルスの感染拡大が広がっている中国。政府は「ウイルスゼロ化」の徹底を主張し、ロックダウンなど強硬な手段を取り続けている。ガンとして「ゼロ化」を譲ろうとしない政府に対して、今度は専門家から「今はもはやゼロ化か共存かを論ずるときではない」という声が上がり始めた。(フリーライター ふるまいよしこ)
吉林省、上海市、そして深セン市で感染拡大
2月に香港入りしたわたしが2週間の指定ホテル隔離から開放された途端、街はオミクロン株大流行で大厳戒態勢に入った。3月初めに1日当たり5万人を超える陽性患者が報告されるようになると、「ウイルスゼロ化」を掲げて香港政府が発表する施策にも矛盾や混乱ばかりが目立ち始めた。その様子は前回の記事でも触れた通りだ(参考記事:香港の高齢者が新型コロナワクチンを拒む理由)。
そんな3月初め、中国では一年に一度この時期に開かれる二大政治会議が開かれた。いつもなら先端技術を使って会議期間中は雲ひとつない青空が広がるのが恒例なのだが、今年はその技術を使ってすら(?)重苦しい雲が立ち込めた、と現地にいる人が写真をネットにアップしていた。今年秋、中国は共産党第20次党大会という節目を迎えるため、すでに政府トップの心はそちらに飛んでいるようで、今年の二大政治会議は過去最短といわれる期間で終了した。
そしてそれを待っていたかのように噴き出したのが、吉林省、上海市、そして深セン市などでの新型コロナウイルスの感染再拡大だった。