日本の愛国者とプーチン支持者の
思考回路は瓜二つ?

 …という話を聞いていると、あまりに歪んだ歴史認識に怒りが爆発してしまう愛国者の方も多いかもしれない。

 ネットなど、ちまたにあふれる「学校で教えてくれない歴史の真実」では、太平洋戦争というのは、アジアを白人支配から解放するための戦いであって、真珠湾攻撃も西側諸国が日本を悪者にするために仕組んだ陰謀というのが“定説”となっているからだ。

「その通り!西欧諸国は日本を孤立化させて先制攻撃させるように仕向けたのだ。実際、アメリカ側は攻撃を事前に知っていたんだ。太平洋戦争は実は自衛のための戦いであり、日本ははめられたのだ!」

 そんな主張をされる方もネットやSNSでは珍しくない。ただ、実際にそれを職場や友人などにすると周囲の反応はかなり微妙な空気になってしまうのではないか。

 しかし、世界は広い。このような愛国者の皆さんの歴史認識に対して「わかる、わかる」と大きくうなずいてくれる人たちもいる。意見交換すればするほど考え方が近いことがわかって意気投合すること請け合いである。

 その人々とは、プーチンの軍事侵攻を支持しているロシア国民だ。

 日本や西側諸国のメディアでは連日のように、ウクライナ侵攻に反対するロシア人ばかりが登場する。あたかもロシア国民の多くが、プーチンが怖くて従っているだけで、本音の部分では戦争に反対している人が大半のような錯覚を受けるが、実はロシア国内の最新世論調査ではプーチンの支持率は71%となっている。

 これは報道規制でかなりかさ上げされているだろう。とはいえ、21日にロシアの32歳のチェスプレイヤーがSNSでプーチン支持の投稿を繰り返して国際チェス連盟から6カ月の資格停止処分を受けたように、心の底から「西側諸国とウクライナの脅威からロシアを守るためにプーチンは軍事侵攻に踏み切った」と信じて疑わない愛国者もかなりいるのだ。

「真珠湾攻撃はアメリカの陰謀で、太平洋戦争は自衛のための戦争だった」という日本の愛国者の主張と、双子のように瓜二つなのだ。