福島県沖で発生した最大震度6強の地震による影響で、首都圏と東北地方は22、23日、大規模停電の危機を迎えた。電力業界関係者の尽力と国民総出の節電によって、なんとか大規模停電は回避した。しかし、今回のような大規模停電の危機は今後、恒例行事となる可能性があるのだ。先進国ニッポンで電力不足を招いた真犯人は、いったい誰なのか。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
福島沖地震で火力発電所が故障
寒の戻りで電力需給が逼迫
「まずい、これは本当にまずい。夕方には大規模停電になるかもしれない」。3連休明けの22日、ある大手電力会社関係者は電力需給状況を示す「でんき予報」が100%を上回ったのを見て慌てていた。しかも停電を防ぐ最後の“とりで”ともいえる、揚水発電所を夕方にも使い切ってしまう恐れがあったからだ。
福島県沖で発生した最大震度6強の地震で、東北地方に立地する火力発電所6基が故障して供給力が落ちていた。これに対し、22日は寒の戻りとなって気温が低下してエアコンなどの電力需要が急増することが見込まれた。
電力はためることができないという特性から、需要と供給を一致させないと送配電網に負荷がかかり、停電するリスクを抱えている。
電力不足によって大規模停電の恐れが強まったとして、政府は東京電力と東北電力のエリアに対して「電力需給逼迫(ひっぱく)警報」を初めて発令して、国民に節電を呼び掛けた。
しかし、思うように節電が進まず、萩生田光一経済産業大臣は同日午後の緊急会見で、「このままではブラックアウト(全域停電)を避けるために広範囲で停電せざるを得ない」と強調し、さらなる節電を要請した。
大口顧客をはじめとする需要家による節電と、各企業らが保有する自家発電機のたき増しなどにより、東電と東北電エリアでの大規模停電はなんとか回避した。
今回の大規模停電の危機は、巨大地震という災害が大きな要因だった。しかし、今回のような停電危機は今後、災害時だけでなく平時でも頻発する可能性があるのだ。
次ページ以降では、電力不足に陥れている真犯人、そして日本が“停電頻発国”に成り下がり得る理由をつまびらかにする。