ロシアのウクライナ侵攻に対し、欧米諸国がロシアへ次々と経済制裁を繰り出している。ロシアに甚大なダメージを与える最終兵器は、エネルギー企業への制裁だ。特集『混迷ウクライナ』の#2では、三井物産が参画するロシアLNGプロジェクトが経済制裁の対象に浮上する理由に迫る。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
経済制裁の行方の鍵を握るのは
プーチン大統領の“黒い金庫番”
石油メジャーの一角、英BPが19.75%保有するロシア石油大手ロスネフチの株式を売却し、ロシア事業から撤退するニュースは、世界のエネルギー業界を驚かせた。
BPがロシアから撤退した理由について、業界関係者の間では、ロスネフチがロシアに対する欧米諸国の経済制裁の対象になる可能性が高いとみたBPが「いち早く逃げた」という見方が出ている。
経済制裁の対象になりかねないのは、ロスネフチだけではない。三井物産が参画するロシア北極圏の液化天然ガス(LNG)プロジェクト「アークティックLNG2(アーク2)」を手掛ける民間ガス大手のノバテクもそうだ。
ノバテクの鍵を握る重要人物がいる。その人物とは、ロシアのプーチン大統領の側近で“黒い金庫番”とも呼ばれるゲンナジー・ティムチェンコ氏だ。