砕氷船北極圏の氷の海からLNG(液化天然ガス)を運び出す世紀のプロジェクトは、地政学リスクにさらされている

ロシア北極圏で採掘された天然ガスを、砕氷船などを用いて欧州やアジアに運搬する事業に、日本の海運大手である商船三井が参画している。ロシアのウクライナ侵攻で日米欧が結束して経済制裁を科す中、どのような決断を下すのか。特集『混迷ウクライナ』の#8では、その見通しと課題を検証した。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

英米石油メジャーの撤退が相次ぐ中
ロシア北極圏に食い込む商船三井

 米エクソンモービル、英PBやシェル、仏トタル――。欧米の名だたる石油メジャーたちが続々とロシアでの石油や天然ガス事業からの撤退や、新規投資の凍結を打ち出している。

 ロシア軍が2月24日にウクライナに武力侵攻して以降、大都市で民間人を含め著しい被害をもたらした。欧米各国や日本は、ロシアへの強力な経済制裁で対抗し、ウクライナへの支援を強化している。

 エクソンやシェルが3月に入り、ロシア極東の石油・天然ガス採掘プロジェクト「サハリン」1、2からの撤退を表明。サハリン2に出資している三菱商事と三井物産の去就が注目されているが、海運大手でもロシアの資源プロジェクトに深く関与してきた会社がある。

 業界2位の商船三井は、ロシア北極圏からLNG(液化天然ガス)を運搬している。現在、同社はどのような状況に置かれているのか。