無形人脈を大切にするから
有形人脈がつながる

 帝王についてもう一つ知っておきたいことは、陰陽五行論では「人の高みにのぼった者は孤独の罰を得る」と教えていることです。

 つまり、人の高みにのぼった者は最大限周りに配慮しながら、ときに一人ですべてを決断し、全権と全責任を背負って動かしていかなければならない。不安や恐怖から逃れることはできず、想像を絶する世界に置かれるということなのです。

 自分一人の力では限界があるような気がしますが、次のように考えるとまた世界が変わってくるのではないでしょうか。一人で進めると一馬力、仲間と協力し合えると何万馬力もの力を発揮することができると。

 それが人脈です。

 陰陽二極の考え方と同じで、人脈には、無形人脈と有形人脈の二種類があります。

 有形人脈とは、目の前にある実際の人や事象とのつながり、ご縁を意味しています。一方の無形人脈とは目に見えない存在や事象を表します。ご先祖様や目に見えない世界であなたを支えてくれている大いなる存在、それらすべてを指します。太陽と地球、月、それに木火土金水の惑星の動き、銀河やその果ての大宇宙を構成する無数の星々、そこから発生する力、気の流れ、自然の摂理、それらすべてが当てはまります。

 森羅万象すべてのものを含めた目に見えない存在に毎日心から感謝する。その感謝の量が多ければ多いほど、あなたの無形人脈が豊かになり、多くのサポートを得ることができると本書では説きます。

青年:何とも壮大な話ですね。

康仁:はい。人が見ていないときも凛とする、見えない場所をきれいにする、目には見えない人脈に感謝する……そんな姿は外から見えませんが、大いなる存在とあなたは見ている。
 表面的なつながりだけで終わることが多い世の中で、目に見えない世界を含めたすべての人脈との関係性を大切にし、誠実に生きている人はその存在が際立ちます。丁寧に想いを込めて愚直に対峙するその姿を見て、人はあなたを信頼するのです。
 人から信頼されると、あなたに紹介したい、あなたから買いたい、と勝手に人がつないでくれます。そうやって気づくと豊かな人脈が広がっている。ある一定の時間はかかりますが、こうしてご縁が広がり、豊かな世界が広がっていくのです。

(本原稿は、小池康仁著『「自分」の生き方 運命を変える東洋哲理2500年の教え』から一部抜粋・改変したものです)

小池康仁(こいけ・こうにん)
一部上場企業に入社後、IT・戦略会計・人材育成分野のコンサルタントとして、主に上場企業を中心に10年間コンサルティング業務に従事。国内大手メーカーの教育機関に転職後、国内外の人材育成業務に携わる。その後、独立起業し、現在は数十社の会社を統括する経営者であり、経営アドバイザーとしても活躍中。また東洋哲理思想の帝王学・陰陽五行論を経営に活かす第一人者として、現在全国で2000名以上に指導を行っている。