アニメを見て“憧れの日本”に来たまではよかったが、期待と現実のギャップを目の当たりにする中国人留学生は少なくない。一方、台湾出身の留学生のK君によれば「国籍に限らず、外国人留学生は日本人の友達が少ないという傾向がある」という。

「言葉が通じないからではなく、『空気を読む』や『状況を察する』などといった日本人独特のコミュニケーションについていけないのです」とK君は話すが、確かに日本人の意思表示を外国人が解読するのは難しい。

「結構です」とか「いいです」という言葉は「OKだ」という意味でもあるし、状況によっては「不要だ」という意味を示すこともある。イエスかノーだけの意思表示に慣れている外国人からすると、本音と建て前の区別がある日本人とのコミュニケーションは容易でない。

外国人留学生は怖がられている?

 筆者は昨夏、外国人留学生のオンライン交流会に参加したが、そこで目の当たりにしたのは、来日する外国人留学生の孤独だった。

 東欧出身のAさんもまた、日本で友人を作るのが難しいと感じている一人だった。「あなたに日本人の友達はいますか?」という筆者の質問に、彼女は「そもそも、友人の概念が日本人とは違います」と切り出した。

 Aさんは「日本語の『友達』は私たちからすると『知り合い』という意味に近いのですが、日本人と“知り合い”になるのも大変難しいです。なぜなら、外見の違いで外国人は怖いと思う人が多いからです」と訴えた。

 北東アジア出身のMさんは現在、都内の私大に通う学部生だが、「私も親しく付き合う日本人の友達はほとんどいない」と答える。Mさんの話からは、来日した外国人留学生がキャンパスライフに溶け込めていないことがよくわかる。

「大学内にはラウンジがあり、留学生と日本人学生のみんなが集まれるスペースがあるのですが、誰でも自由に入れるにもかかわらず、日本人学生が入ってくることはほぼありません。外国人留学生は怖がられているのかもしれません」