ガチンコ人格対立を
論点整理で回避する方法
この2つのハードルを克服するために、『スタンフォード式生き抜く力』から「ケンカしない論点整理話法」のテクニックをいくつかご紹介しましょう。
この話法の基礎にあるのは、あなたの人格と相手の人格のガチンコ対立にならないように配慮すること。
あくまで、意見と意見の違いを建設的に議論していることをはっきりと印象づけるのがカギとなります。
気の知れた友人と、互いの好きな映画を罵り合っているシーン。
「えー、なんであんなのが好きなんだ。信じられない」
「おまえこそ趣味最悪だわ」
2人で大笑い。映画への評価がまったく違っても、気の知れた友人同士なら、人格的な対立には発展しません。冒頭の上司と部下のやりとりとは対照的です。
ある企画に賛同する意見を述べ、「空気が読めない」と叱られた後、「意見を求められたからいったまで」と開き直る。
しまいには、気まずい雰囲気に叱ったほうが気づくというバツの悪さ。
これは意見の違いから、人格と人格のぶつかり合いに発展してしまった悪い例といえます。
人格対立に発展するケンカを避けるには、意見の違いは考え方の多様性であって、人格対立ではない、という明確なメッセージを相手に発信し続けることが肝心です。
そのために、自分も相手も異なる意見の全体像を見渡せるように「論点を整理しながら」俯瞰的に、鳥が街を空から見渡す目線で、会話を進めていくことが効果的です。
自分の意見も相手の意見も整理しながら、各意見の根拠や問題点を見渡す視点を自然に出しながら会話していくのが、「ケンカをしない論点整理話法」です。