資源高と円安が同時に進行
輸入物価上昇の4分の1は円安で
ドル円相場は、パウエル議長らFRB(米連邦準備制度理事会)高官から「利上げ加速」を示唆するタカ派な発言が相次ぐ一方、日本銀行の「連続指値オペ」により日米の金融政策の違いが意識され、一時は、2015年8月以来の1ドル=125円台まで円安・ドル高が急進した。
他方で、原油価格は1バレル=100ドル台で推移しており、2010年代前半以来の高水準だ。過去20年間、これほど急激に資源高と円安が同時進行した局面は見られなかった。
内外金利差拡大を受けた円安と資源高が同時に進行し、両者がいずれも輸入物価の上昇要因になることで、日本の交易条件を悪化させている状況だ。
筆者の独自試算では、円安のメリットは自動車などの一部の業種にとどまり、石油・石炭などの鉱業や食料品、素材系業種などを中心に多くの業種では、輸出入取引による為替差損が発生する。
円安がさらなる輸入物価上昇に寄与する形で、円安と貿易赤字のスパイラルに陥るリスクも十分に考えられる。