そして国が打ち出している「デジタル・ガバメント実行計画」も、官公庁の中途採用活動の活発化につながっている、と水野氏は話す。この計画は、省庁や自治体が行政サービスにデジタル技術を導入し、人口減少による生産性の低下や、地方の消滅などの課題解決を目指すというものだ。

「19年からの6年間を計画実行期間と定めて、現在は官公庁内のDX化を進めている真っ最中です。さらに近年はコロナ禍の影響で、全国の公立学校へのタブレット配布やオンライン授業の導入を進める『GIGAスクール構想』の実現が、喫緊の課題になりました。こうした時代背景から、19年にはDX人材や教育×IT分野の知見に富んだ人材の募集がとても多かったですね」

 国の計画はあるものの、デジタル技術やツールの導入が遅れている自治体も多く、官公庁ごとに計画の遂行に大きな差が生じている。現状のままでは25年の目標達成は難しいため、“外部の人材”に頼らざるを得ない切実な事情もあるという。

柔軟な雇用形態で
ジョブ型採用を行う

 通常、官公庁の正職員になるには公務員試験に合格して、採用に至るという段階を踏む。しかし、民間人材サービスに掲載されている求人の多くは公務員試験をせず、書類と面接で選考を行うという。

「今求人が増えているのは、任期が決まっている契約職員、もしくは本業を持ちながら官公庁で働く副業人材の募集です。また、テレワークOKなど、柔軟な働き方を提示している求人も多く、多様な雇用形態を提示して間口を広げています。応募資格には専門スキルを求めており、DXを実現するIT人材や『ふるさと納税』や企業誘致など促進に向け、の各組織のプロモーションが行えるPR業務経験者のニーズが高いです。直近では、環境省が国会業務のDXに携わる副業DX人材を公募しました。472人の応募から、コンサルタントや情報システムの知見を持つ2人が採用されています」