それがまた難しいので、カウンセリングのときは「あぁ、あたしはすぐ被害者になってしまうんだな。誰かを責めてしまうんだな」と、実際に声に出してもらうようにしています。そのセリフを言ってもらったあとは、「うん。それが今の自分なんだからしょうがないよね」と再び声に出して言ってもらうのです。そう思っておくだけで、私たちは「対処」することができます。

 たとえば、車や自転車のブレーキにもクセがありますよね。ちょっと踏んだだけでキュッと止まるものもあれば、しっかり踏み込まないときかないブレーキもあります。旅先でレンタカーなどを借りるとブレーキのききが自宅の車と違って戸惑うことも多いですが、「あ、この車のブレーキはききが悪いんだな」と気づくことができれば、それに対処して早めにブレーキを踏むことができます。

 この思考のクセも同じで、そのクセに気づいていれば「思い直し」という対処をすることが可能になるのです。

「あ、また悪い方向に考えてるな。あぶないあぶない。もうちょっと前向きに考えてみよう」とか、「先輩からホメられたのに、また何かあるのかと疑ってしまった。素直に『ありがとうございます!』って言ってみよう」というふうに。

 この「思い直し」を何度も繰り返すうちに、「思い直すこと」もまたクセになっていきます。するとネガティブな思考のクセに対して、すぐに思い直すことも自動化されるので、結果的にそのネガティブな思考が打ち消されるようになります。

 そして、気づいたときにはそのネガティブな思考のクセがなくなっているのです。