価値観を育てるために有効的な「自問力」とは?

 前述のとおり、自問力を身につけるもうひとつの目的は、ビジョンやパーパスなど、ビジネスパーソンとしての “幹”となる価値観を育てることだ。価値観をしっかり育て、その本質を自らきちんと把握することで、同僚や上司、クライアントといった他者をより深く理解し、掘り下げたコミュニケーションをとれるようになる。特に、孤立しがちなリモート環境下においては、こうした“幹”を持っていることがより重要になるだろう。しかし、対面での仕事をあまり経験していない若手社員にとっては「自分はチーム(組織)にどのような価値を提供しているのか?」「自分はこのチーム(組織)においてどのように評価されているのか?」など、チーム(組織)と自身の関係性を俯瞰して把握するのは簡単なことではない。このような状況においても、“幹”を育てていく方法のひとつが「自分で自分に問いかけること」だ。

島村 「もっと成長したい」という前向きな葛藤を抱えている人は、その葛藤をキャッチし、自問を繰り返すことで、自らの“幹”を太く育てていくことができます。けれども、そうした思いを何も持たずに、ただただ目の前のタスクをこなしてしまう人も少なくありません。コロナ禍以前であれば、そばにいる上司から「このままでいいのか?」などと声をかけられたり、同期社員の奮闘する姿が刺激となり、それがきっかけで葛藤が生じ、価値観を形成することができました。ですが、リモート環境下では意外とそれが難しいのです。そこで必要になってくるのが、意識的に自問することです。ネガティブな局面でも、ポジティブな局面でも、葛藤を流さずにキャッチしてありのままに受け止め、そこから視点を変えて自分に問いかけていくという基本は同じです。その問いかけの内容を「自分はこの仕事を通して社会にどのように貢献したいのだろう?」「自分はチームのメンバーにどのような影響を与えているのだろう?」など、ビジョンやパーパスに関することに変えていきます。若手にとっては難しいと思いますが、問いかけ続けていくことで、芽が幹になり、その幹が少しずつ太くなっていくのです。