上海の物流ほぼ停止、コロナ封鎖で大混乱Photo:VCG/gettyimages

 中国・上海市のトラック運転手、ズー・ゾンタオさんは、地元の製造業者が切実に必要としている貨物を運んでいる最中に、思いがけず隔離施設へと送られた。

 中国で今まさに新型コロナウイルス感染拡大の「震源地」となっている上海から来たズーさんは、近くの温州の県に入ろうとしたところを料金支払所で止められた。ズーさんの雇用主が明らかにした。コロナに感染しておらず、過去2週間に感染流行地を通過していないことを証明する3種類の書類を提示するよう言われたという。その場でコロナ検査を受けさせられたが、結果は陰性だった。ズーさんはその県に入る要件をすべて満たしていた、と雇用主は話している。

 それでも当局は今週、ズーさんに少なくとも2週間、隔離施設に入るよう命じた。運転していたトラックは荷物を積んだまま施設の前に放置された状態だ。ズーさんは適切な許可書を欠いていたと話す地元当局者もいれば、上海からの運転手が長めの隔離を命じられるのは当たり前という者もいたという。温州が位置する浙江省の政府はコメントの要請に応じていない。

 ウイルス封じ込めに向けた上海のロックダウン(都市封鎖)は4週目に入り、長江デルタの工業地帯における物流サービスは大混乱に見舞われている。中国最大級の製造・輸出拠点である上海へのモノの輸送はほぼ完全に止まった。

 最も深刻な打撃を受けているのがトラック輸送だ。厳しい封鎖措置に加え、当局による規定の適用が恣意(しい)的なため、貨物輸送が寸断されている。世界有数のコンテナ取扱量を誇る上海の港湾施設では、貨物輸送のトラックを待つ空のコンテナが積み上がっている。