ケビン・リーさん(27)のスマートフォンには一日に一度、自撮り写真を投稿する時間が来たことを知らせる通知が届く。
「BeRealの時間です」。通知が届くと2分のカウントダウンが始まる。
リーさんはロサンゼルスのソフトウエアエンジニア。起床前に通知が届くこともある。「ひどい顔をしているけれど、とにかく投稿する」
モバイル市場調査会社センサータワーのデータによると、SNSアプリ「BeReal(ビーリアル)」をダウンロードした人の数はこの2年で約680万人に上る。大学生を中心に若者の間で流行しており、調査会社アップトピアによると、ユーザーはリーさんのように今年使い始めた人が大半を占める。
BeReal はフランス発のアプリで、24時間に一度、ユーザーに通知を送り、前面と背面のカメラを使って写真を撮影するよう促す。通知が届くタイミングは毎日変わり、ユーザーは予測できない。写真を加工するフィルターは使えない。広告もなく、フォロワー数も表示されない。
ティックトックやインスタグラムなどの主要SNSは資金とエンジニアを投入してユーザーを夢中にさせる製品にしようとしているが、さっさと投稿して、他人の投稿をチェックしたら自分の人生に戻れるのがBeRealの売りだ。Z世代のユーザーの中には、こうした考え方に魅力を感じる人もいる。
アイルランドの学生、ネイサン・キャリーさん(22)は大学の友人からBeRealの話を聞き、3週間前から使い始めた。手を加えた写真よりも、テレビを見ていたり、料理を作っていたりする様子を写した、どちらかと言えばありふれた写真を見たほうが、友人のありのままの生活が分かるという。