中国・上海市民が「異臭ハム」配給に憤り!食品偽装が横行する深刻な理由上海に暮らす知人に配給された食品(著者提供)

ロックダウンが続く上海で、「配給された食料品の品質がひどい」と市民が激怒している。上海市は在住者に対し配給を行っているが、一部の食品に「賞味期限切れの加工肉」や「質の劣化で食べられない豚肉」などが混ざり込んだというのだ。近年、食の安全性が高まっているといわれる上海でなぜこのような事態が起こっているのか。(ジャーナリスト 姫田小夏)

4月半ばから顕在化した“怪しげな食料品の配給”

 上海は市の中心を流れる黄浦江を境に東西に分けられ、西側(浦西)は4月1日からロックダウンに突入した。浦西の閔行区に住む陳李工さん(仮名)宅には、2日に政府からさっそく配給の食料品が届いた。白菜、キャベツ、豚肉と豊富な詰め合わせだった。続く、3日に届けられた配給第2弾は、鶏肉や鴨肉の加工肉や野菜のセットだった。

 当初、市は「ロックダウンは5日間で終了する」と告知したものの感染拡大は収まらず、今なお、先の見えぬ延長戦が続いている。

 9日にはコメが届き、11日は鶏と鴨の加工肉、ジャガイモやキュウリなど数々の野菜が届いた。さらに16日にはトイレットペーパーや食用油、牛肉の加工肉などが届いた。中国の人々は味付けされた加工肉が好物で、陳さんも「市政府に感謝だ」と喜んでいた。

 しかし、同じ閔行区の別エリアでは、複数の住民が食品の異常を察知していた。住民の元には塩漬け肉や春雨、キクラゲ、などの加工食品が届いたが、春雨はいわゆる“偽ブランド”だったのだ。

 中国で春雨といえば、山東省烟台市の「龍口ブランド」が有名だが、住民の元に届いたのは、あたかも龍口ブランドと誤認させるかのような「龍仁ブランド」(筆者注:パッケージの商標の「仁」の字に手を加え「口」に見せている)の商品だったのだ。

 中国メディア「第一財経」によると、この春雨を生産する食品メーカー(河南省)はすでに2020年5月に企業登録を抹消されていた。これ以外にも、「罰金刑に処された企業」や「払込資本金ゼロの企業」など、まるで信用に値しない食品メーカーが配給に関わっていたことが明るみに出た。

 他にもこれと似たようなことが、別のエリアでも起こっていた。