リフィル処方箋とは、1度出された処方箋を繰り返して使えるというものだ。症状が安定している患者なら、一定期間内に、決められた回数に限って、同じ処方箋で薬を出してもらえる。

 同じ内容での使用回数の上限は3回までで、投薬量の上限が定められた麻薬、向精神薬、新薬などを除く薬剤が対象だ。

 医師の処方のもとで、薬剤師の服薬管理を受ければ、その都度、病院や診療所に行かなくても、薬局で薬を出してもらえるので、診察を受ける時間も、医療費も節約できるようになる。

 では、リフィル処方箋を利用すると、医療費はどのくらい節約できるのだろうか。高血圧症の治療で、28日分ずつ投薬を受けているAさんのケースで見てみよう。

リフィル処方箋を利用すると
年間1万円節約できるケースも

●高血圧症の治療を受けているAさん(55歳)のケース
(診療所で3種類の内服薬を28日分ずつ処方されている場合)

 Aさんが1回診察を受けると、次のような医療費(診療報酬)がかかる。

【1回当たりの医療費】
・再診料         730円
・明細書発行体制等加算  10円
・外来管理加算      520円
・特定疾患療養管理料  2250円
・処方箋料        680円
・一般名処方加算2     50円
・特定疾患処方管理加算2 660円
 合計         4900円
 自己負担分(3割)   1470円

【1年間の医療費の自己負担分】
・28日ごとに診察を受けた場合
 1470円×13回=1万9110円

・リフィル処方箋を利用して3カ月ごとに診察を受けた場合
 1470円×5回=7350円

 症状は落ち着いているので、最近は毎回、同じ薬を出してもらうだけだが、支払うのは投薬のための処方箋料680円だけではない。通院で診察を受けるための基本料金である再診料(その病気で2回目以降に診察を受ける場合)が730円かかるほか、さまざまな加算が付くので、医療費の合計は4900円。55歳のAさんは、このうちの3割である1470円を自己負担している。

 毎回、薬は28日分ずつ処方されるため、診療所には1年間で13回通院している。そのため、1年間の医療費の自己負担分は、1万9110円になる。

 だが、リフィル処方箋なら、1回発行してもらうと、同じ内容で3回まで、薬局で薬を出してもらうことができる。体調に変化がなく、順調に薬の服用ができた場合は、1年間に通院する回数は5回で済むので、1年間の医療費の自己負担分は7350円。年間1万1760円も医療費が節約できることになる(この他に、別途薬局での薬剤費などがかかる)。