分譲価格上昇が止まらない理由
4年先まで上がり続ける?

 この10年の値上がりがあることが決定的な差を生んでいるが、今後の分譲価格は4年程度先まで値上がりする可能性が非常に高い。なぜなら、値上がりしているのは単純に金融緩和の影響であり、貸出先が不動産になっているからだ。

 この金融緩和は、2023年4月の黒田日銀総裁の任期満了まで続く可能性が高い。今の円安も、その主因は日米の金利差の拡大に伴う資金の流れにある。米国は8%以上のインフレの中で金融の引き締め、つまり金利上昇を急ピッチで行っているのに対して、日銀は今の政策金利を維持する方針を明確に打ち出している。

 23年まで金融緩和をされると、その時点で仕入れた用地はその2年後に新築分譲される。つまり、25年の新築分譲マンション価格は高くなることが運命づけられているのだ。日銀総裁が代わっても金融緩和は異次元に緩和してしまっているので、手じまいするのには少なからず年月がかかる。そのため、4年以上先までマンション価格は上がるのだ。

 10年間の持ち家と賃貸の収支を見た通り、今後4年は分譲が値上がりするなら、収支は賃貸よりも有利になる可能性が高い。もし価格が下がり始めたら、そのタイミングで売ればノーリスクでこの自宅の住居費削減(それ以上にもうける)ゲームに終止符を打てるのだ。

値下がりで損をしない!
持ち家の購入戦略とは

 そこで、現実的な購入戦略を伝えておこう。既に書いたように、毎月の家賃と住宅ローンの返済はほぼ同額になる。支払っている家賃の420倍(=35年ローン)、家賃20万円なら8400万円の物件を購入することができる。その際、都区部の中でも「インナー東京(内側の都心部」に家を買おう。そうすれば値下がりで損をすることはないことは、過去のデータから立証済みだからだ。

 インナー東京とは、環七と荒川の内側である。この立地だと、単価が高いので面積が小さくなりがちだ。面積が最低40平方メートルあれば、マイホームとして購入する層はいる。住宅ローン控除の対象は、21年度税制改正で40平方メートル以上に拡大されているからだ。

 できれば50~60平方メートルあればいいが、70平方メートル以上などとこだわらなくていい。こう考えれば、多くの人が家賃地獄から抜け出すことができるだろう。あとは、信じて思い切りよく買うだけだ。信じられないなら、私の書いたものを読みあさるなり、無料会員制サイトの「住まいサーフィン」で公開している動画「沖レク」を見てもらうといい。とにかく、遅れた分だけ損をする状況にあることだけは理解しておくべきだ。