その結果、以前はワンルーム家賃の単価の7~8割程度だった2人以上向けの家賃が、今やワンルーム同様の坪単価まで上昇している。8坪=26.4平方メートルの坪単価1.2万円で家賃9.6万円に対して、16坪=52.8平方メートルは2倍の19.2万円となっている。同居すれば家賃負担は軽くなる時代は、もう終わりを迎えつつある。

マンション価格は急上昇
持ち家と賃貸どちらがお得?

 分譲マンション価格は、都区部で2012年比1.6倍になっている。賃貸に住んでいても、家賃が1.2倍ほどになっている。ここで考えるべきことは、持ち家と賃貸の損得勘定だ。家賃が戻ってこないコストなのに対して、持ち家で支払う住宅ローンの返済は、同じキャッシュアウトでもお金が戻ってくる可能性がある。なぜなら、価格が上昇しているときに売ると、値上がり分が戻ってくるからだ。

 では、計算をしてみよう。分譲価格に対する年間家賃を3.5%とする。分かりやすい数字にするために、分譲価格を1億円としよう。

 賃貸は10年間で35%、3500万円の家賃の支払いとなる。

 分譲は10年間で同じ35%、3500万円の住宅ローンの支払いとなる。住宅ローン控除の減税があるため金利は全額相殺されるので、3500万円は全て元本返済に相当する。この間、物件価格は1.6倍なので、6000万円の含み益が発生している。売買の仲介手数料やローンの事務手数料で8%、800万円かかったとして、売却時に戻ってくるお金は6000万+3500万-800万=8700万円になる。トータルの収支は元本が全額返ってきているので、6000万-800万=5200万円になる。

 賃貸は3500万円のキャッシュアウトに対して、持ち家は5200万円のキャッシュインになり、両者の差は8700万円に及ぶ。家賃補助が月8万円あったとしても、10年で960万円にすぎない。この程度の補助される金額にぐらついている場合ではない。