新築マンション市場が、投資・転売・節税目的の購入者層で沸いています。一方、東京23区の新築マンションの平均価格が8000万円超と高騰する中、平均給与433万円の一般層には到底買えない状況が続いています。いびつなマーケットにおいて、2022年以降の住まい選びはどうすればいいのか? そこで編集部では、『マイホームは価値ある中古マンションを買いなさい!』(ダイヤモンド社)の著者でマンショントレンド評論家の日下部理絵さんと、近著『ここまで変わる!家の買い方 街の選び方』(祥伝社新書)が話題の不動産プロデュース業を展開する牧野知弘さんのお2人に、賢いマイホーム選びをテーマに対談していただきました(対談実施日:2021年12月23日)。全7回の第5回をお届けします。バックナンバーはこちらからどうぞ(構成/北野啓太郎)。

中古マンションは争奪戦! 失敗しない賢い買い方・売り方とはPhoto: Adobe Stock

マンション購入、
新築と築浅中古狙いの要注意ポイント

中古マンションは争奪戦! 失敗しない賢い買い方・売り方とは牧野知弘(まきの・ともひろ)
東京大学経済学部卒。ボストンコンサルティンググループなどを経て三井不動産に勤務。J-REIT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役を経て独立。現在はオラガ総研株式会社代表取締役としてホテルなどの不動産プロデュース業を展開。また全国渡り鳥生活倶楽部株式会社を設立。代表取締役を兼務。講演活動に加え多数の著書を執筆している。祥伝社新書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題』『不動産で知る日本のこれから』『不動産激変』『ここまで変わる! 家の買い方 街の選び方』などがある。

牧野知弘(以下、牧野) 日下部さんは中古マンションの上手な買い方ガイド本を書かれていますが、2022年以降のコツで何かありますか。やっぱり、中古は5年から8年ぐらいを狙うっていう感じでしょうか?

日下部理絵(以下、日下部) 今はすごく難しくなってきていますね。中古になると価格がグッと下がるのが一般的だったんですけど、今は中古でも築浅だと新築と変わらないので。

牧野 新築マンションが高騰して一般の方が買えない状況が続き、そうすると当然、みんな中古にくるから中古の価格も上がりますよね。

日下部 そうですね。あと最近の新築は、共用部分も部屋の中も設備のグレードが下がってきています。ディスポーザーやスロップシンクが無いとか、ひどかったのは食洗器が無いのもありました。

牧野 むしろ今だと、中古のほうが設備が良かったりしますね。新築の価格をどうしても抑えたいので、設備費用を少し落とすことになるんです。僕も昔から業界にいたのでよくわかるのですが、値段が上がると設備のグレードを落とすんですよ。昔からそれを繰り返しやっている。

日下部 なるほど。将来的に買い替えを視野に入れるなら、思い切って東京・港区など立地の良い場所の築古をフルリノベーションして住むという手も今だったらありかな、という気もしなくもないですね。本当は築浅のほうが良いとは思うんですけど。

牧野 築古でも立地がよければ、資産性に関しては問題ないですね。広さにこだわらなかったら、少し小ぶりのものでも立地がよければ価格は維持できると僕は思っています。逆によくないのは、設備仕様の落ちた、郊外の面積だけ縮まっちゃったようなマンション。これは競争力が全然ない。当たり前ですけど築年数が経っていくと価値はダウンしていくので。だから日下部さんがおっしゃるとおりで、港区の方で少し頑張って、若干高いかもしれないけども面積を縮めて買うみたいな。それは悪くないんじゃないですか。