武田薬品工業が大衆薬子会社をファンドに売却して誕生したアリナミン製薬は5月、看板製品であるアリナミンの錠剤を新発売した。これについて「客をだましている感じ」との批判が出ている。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

「新発売とアピールするのは
客をだましている感じ」

新発売の「アリナミンメディカルゴールド」と既製品の「アリナミンEXゴールド」アリナミン製薬が“新発売”した「アリナミンメディカルゴールド」(右)とすでに市場に出ているアリナミンEXゴールド Photo by Masataka Tsuchimoto

 大衆薬(OTC医薬品)大手のアリナミン製薬は5月9日、看板製品のアリナミンシリーズで「アリナミンメディカルゴールド」を新発売したと発表した。いわゆる疲労対策のビタミン製剤、あるいは滋養強壮剤と呼ばれるものだ。

 同社の起源は、国内製薬最大手の武田薬品工業の大衆薬子会社だった武田コンシューマーヘルスケア。米投資ファンドのブラックストーンが約2400億円で買収し、21年3月末にアリナミン製薬へ社名変更した。

 21年3月期の売上高は533億円。タケダブランドが無くなった今も一挙手一投足に業界他社からの注目が集まり、アリナミンの新製品について疑問の声が上がっている。

 複数の業界関係者がアリナミンメディカルゴールドについて、既存のアリナミンシリーズの錠剤「アリナミンEXゴールド」と比較して「新発売とアピールするのは、客をだましている感じがする」と言及しているのだ。

「だましている感じがする」とは、穏やかではない。なぜこのような批判が出ているのか。