ツルハとコスモス薬品の稼ぎ方は別物!ドラッグストアの「常識外れ」はどっち?Photo:PIXTA

業界再編が加速し注目されているドラッグストア業界。今回は、ツルハホールディングスとコスモス薬品の決算書を比較してみたい。同じドラッグストアという業態の両社だが、決算書を見ると利益を生み出す仕組みは大きく異なっていることが分かる。その違いとは。(中京大学国際学部・同大学院経営学研究科教授 矢部謙介)

売上高1兆円に迫る
ツルハHDの決算書の特徴とは?

 今回は、マツモトキヨシとココカラファインが経営統合するなど、再編が進むドラッグストア業界から、大手企業であるツルハホールディングス(以下ツルハHD)とコスモス薬品の決算書を取り上げて比較してみよう。

 ツルハHDは「ツルハドラッグ」「くすりの福太郎」「ドラッグイレブン」などを、コスモス薬品は低価格を訴求する「ディスカウントドラッグコスモス」を展開している。ドラッグストアチェーンを運営する両社だが、実は成長の過程や商品の品揃えなどは大きく異なる。こうした点が決算書にどのように表れるのか、読み解いていこう。

 下図は、ツルハHDの決算書を図解したものだ。

 まず、右側の損益計算書(P/L)から見ていこう。売上高が約9190億円であるのに対し、売上原価は約6530億円(原価率約71%)、販管費(販売費及び一般管理費)は約2180億円(販管費率約24%)で、営業利益は約480億円となっている。売上高営業利益率(=営業利益÷売上高)は約5%という水準だ。