登場から約2年が経過しパワートレーンの選択肢が増えた。当初は1Lの3気筒ターボだけの設定で、過剰といえるほどのターボらしい加速が印象的だった。新ユニットは、ひとつは1.2L直3の自然吸気エンジン、もうひとつが今回紹介する“e-SMART”と名づけられた独自のハイブリッド(HEV)だ。システムはシリーズ方式、エンジンは発電専用である。

 追加された2つの心臓はともにFFのみ。これを機にこれまでFFと4WDの両方が選べた1L直3ターボは、4WD専用の設定になった。

ハイブリッドはシリーズ方式
エンジンで発電、モーターで走る

 シリーズハイブリッドといえば、日産のe-POWERと比べてどうなのかが気になるところ。ロッキー/ライズのモータースペックは106ps/170Nm、バッテリー容量は4.3kWhだ。モーターもバッテリー容量もだいぶ控えめ。開発関係者によると、「効率とコストの最適バランスを考えた結果」だという。

 走ってみると、モータードライブならではのレスポンスとトルク感が十分に味わえる。e-POWERほどの瞬発力はないにせよ、気持ちがいい。ロッキーのガソリン車では味わえない感覚だ。

 ただし、思ったよりも頻繁にエンジンがかかる。これを気にするかどうかが、e-SMARTを好きになれるかどうかの分かれ道だと思う。静粛性は高水準。ガソリン車に比べるとずっと静かで、車格がワンランク上がった印象を受ける。

 e-POWERとの大きな違いは、エンジンで発電した電気をバッテリーに貯めるだけでなく、直接モーターを駆動するモードも設定している点。アクセルを踏み込んで加速するまでに一瞬のタイムラグを感じる場合があるのは、求めた加速に対してエンジンを効率のよいところで回して発電しているからだろう。ただしこのタイムラグは、普通に街中を走るには気になるものではない。

 フットワークはなかなかいい。少し走ってみただけでも、足回りの印象が“発売当初とは別もの”になっていると感じた。ハイブリッドは後席下に重いバッテリーを搭載するため、重心が低くなり前後重量配分も改善されるという強みもあるが、どうもそれだけではないようだ。

 実のところ、発売当初のロッキーをドライブしたときには乗り味の粗さに閉口した。しかし、最新モデルはずっと洗練されている。おそらく車体やシャシーにそれなりに手が入れられたのだろう。欲をいうとロール感はまずまずだが、ピッチング系の動きがもう少し抑えられるとなおよい。