ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

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アルメニアってどんな国?

 アルメニアはカフカス山脈の南側に位置し、北はジョージア、東はアゼルバイジャン、南はイラン、西はトルコと国境を接する内陸国です。

 山岳地帯が多く気候は乾燥していますが、国土の約4割が牧場や牧草地、約2割が耕地や果樹園として利用されている内陸国です。

 紀元前に古代王国が成立し、4世紀には世界で初めてキリスト教を国教化しました。

 16世紀以降オスマン帝国とペルシャによる争奪の対象となり、19世紀にはロシアも加わって大国の支配を受けましたが、20世紀になって独立し、後に旧ソ連の構成国となりました。

 周辺国と同様に、旧ソ連から1991年に独立し、同年CISにも加盟しました。ロシア寄りの外交方針をとっていますが、経済面では欧米、中東、アジア各国との関係も重視しています。

CIS(独立国家共同体)

旧ソ連の構成国で形成された国家連合。ソ連崩壊と同時に結成された。2022年2月時点での加盟国は、アゼルバイジャン、アルメニア、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ベラルーシ、モルドバ、ロシア。準加盟国はトルクメニスタン。加盟国の中心であるロシアはCISの結束を強化したい意向だが、各国の利害が一致せず、形骸化の傾向にある。

アゼルバイジャンやトルコとの対立が続く

 一方で、アルメニア人の多いナゴルノ・カラバフ自治州や、アルメニア領に囲まれたアゼルバイジャンの飛地(ナヒチェヴァン自治共和国)の領有問題で、アゼルバイジャンとの対立は深く、また20世紀初頭にオスマン帝国においてアルメニア人が迫害された歴史を背景にトルコとも対立関係にあります。

民族が交錯するコーカサスでは紛争が絶えない民族が交錯するコーカサスでは紛争が絶えない

 地殻運動が活発な地域に当たり、火山活動や地震が多く、1988年の大地震では2万人以上が犠牲になりました。

 多様な鉱物資源が産出され、とくにモリブデン鉱や銅鉱のほか金や銀の貴金属類が経済を支えています。ダイヤモンド加工も世界的に知られている産業です。

アルメニア共和国

面積:3.0万㎢ 首都:エレバン
人口:301.2万 通貨:ドラム
言語:アルメニア語(公用語)、ヤジーディー語、ロシア語
宗教:アルメニア使徒教会92.6%
隣接:ジョージアアゼルバイジャン、イラン、トルコ

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIAのThe World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)