2021年には自発的離職者が月間400万人と過去最高に達した。この「大退職時代」の次に到来したのが「大転職時代」だ。労働者の需要は高く、雇用市場はひっ迫し、リモートワークのおかげで地理的に無限のチャンスがある。だがここで、女性にとって重要なパズルのピースを一つ見落としている。なぜ女性が辞めるのか、雇用主はどうすれば引き留められるかを理解するために、「昇進とは無縁の仕事」の問題を考える必要がある。プライス・ウォーターハウス・クーパースが世界70カ国4000人余りの女性従業員を対象に2017年に行った調査によると、給料が高いことも重要だが、女性が最優先するのは仕事の質と量が改善することであると分かった。女性の離職理由は主に、キャリアアップの機会が十分与えられない、個人的なスキルが報われない、仕事に興味が湧かない、仕事とプライベートのバランスが保てないことだという。こうした問題の多くは同じ原因に行き着く。すなわち昇進に結びつかない仕事をあてがわれることだ。それは裏方として行う仕事で、組織のビジネス目標に密接に結びついておらず、専門的スキルを必要としない。例えば、新入社員の研修係や会議の書記担当、社内委員会メンバーを務めることなどだ。