東京都が太陽光パネル設置の義務化に動いている。環境問題を解決するためという名目だが、住宅メーカーにとってこれは「受難」。無理筋の仕組みであると、駄目出しが相次ぐ。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)
小池都知事の改正案に
消費者もメーカーも「駄目出し」
二酸化炭素排出量を2050年に実質ゼロにする「ゼロエミッション東京」を実現すべく、東京都は一戸建てやマンションなどの新築住宅を対象に、住宅メーカーに太陽光パネル設置を義務付けようとしている。
小池百合子東京都知事が昨年12月に打ち出したこの制度改正案が、波紋を呼んでいる。
都の有識者検討会は今年5月、パネル設置を義務付けるよう提言する答申案をまとめた。
これに対し、消費者サイドからは疑問を投げ掛ける声が相次いでいる。「住宅価格が上がって買いにくくなる」「設置後、近くに高層ビルが建ったらどうするのか」「メンテナンス費用の負担が重い」といったものだ。
ビジネスサイドはどのような反応を見せているのか。
商売が膨らみそうなのは太陽光発電メーカーだ。しかし、「義務化により現状の約2倍の設置件数が予想されるため、パネル供給が逼迫する恐れがある」と、半導体不足が叫ばれる中でのタイミングの悪さに対し懸念を示す。
では、住宅ビジネスの経営にはどのような影響が出るのか。