洋上風力発電の“銀座”と化す秋田県では、大林組や住友商事、中部電力などのプレーヤーが地元の有力者を取り込もうと激しいつばぜり合いを演じている。秋田県を含む国内4エリアで進む洋上風力発電プロジェクトを物にするのは誰か。特集『洋上風力会戦 グリーンエネルギー新世紀』(全6回)の#2では、「受注バトル第1ラウンド」の勝者を大胆予想する。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
“激戦区”の秋田県北部沖で
大林組と住友商事がガチンコバトル
「秋田の海は、売られたようなもんだよ」
秋田県北部のベテラン漁師は、吐き捨てるように言った。己の人生をささげてきた海が今、よそ者に奪われようとしていた。
秋田県は日本トップクラスの風況の良さを誇る。このため全国最多となる五つの洋上風力発電プロジェクトが計画され、洋上風力発電“銀座”と化しているのだ。
参戦する各プレーヤーは目下、今後公募されるコンペでプロジェクトを物にすべく、戦略を練っているところだ。
ただし、彼らの前には、コンペのライバルだけではなく、地元の利害関係者が立ちはだかる。特に海の先行利用者である漁業協同組合、通称「漁組(ぎょくみ)」の存在は大きい。地元の“ドン”もいたりする漁組にそっぽを向かれたら、コンペを勝ち抜いたとしてもプロジェクトを前に進めることは難しくなる。
洋上風力発電“銀座”となった秋田県の中でも、「能代市、三種町、男鹿市沖」のプロジェクトは、大林組、住友商事、日本風力開発、中部電力と三菱商事パワーが名乗りを上げる超激戦区だ。すでに大林組と住友商事が、地元の“ドン”たちを自陣営に引き入れようとガチンコバトルを繰り広げていた。