入社早々、1週間の出社拒否
作家
経営コンサルタント、投資家を経て、29歳で育児セミリタイヤ生活に入る。4年の育児生活中に作家になるビジョンを得て、執筆活動をスタート。「本田健の人生相談~Dear Ken~」は5000万ダウンロードを記録。著書は200冊以上、累計発行部数は800万部を突破。2019年には初の英語での書き下ろしの著書『happy money』を刊行し、すでに世界40ヵ国以上で発売されている。2022年6月15日、『まんが 大富豪からの手紙』(ダイヤモンド社)を刊行する。
玉置:そうですね。自分が仕事を任されて、自分でプロデュースできるというのが面白いんです。いただいた条件に合わせながら、どういう計画で、いつ終わらせて、どういう結果を出すかということをプロデュースするのは自分じゃないですか。それが仕事の面白味なんです。
本田:本当にそうですよね。玉置さんも、今はそういう境地にいらっしゃいますが、入社早々は、会社を辞めたいと思ってらっしゃったと聞きました。
玉置:そうなんです。その前に勤めていた会社はビルにあるオフィスでしたが、今の職場に入ったら、普通の2階建てのお家だったので、「えっ?」と思ったんですね。「オフィスってこんなところもあるのかな」というのが最初、ショックでした。
仕事も、総務を担当するつもりだったのに、営業のお手伝をしたり、お昼になったら皆さんの注文を聞いて近くの市場へ買い出しに行ったり、早番で当直している子の食事を作ったり、そんなことをしなくてはならなかったんですよね。もうびっくりでした。
「私、何しにこの会社に入ったんだろう」と思って、1週間ほど会社を休んじゃったんです。「こんなことを続けてて、将来どうなるの?」と悩んでしまったんですね。
退社を思いとどまってから66年勤務
玉置:ところが、会社を紹介してくれた私のいとこから「まだ何も仕事してへんうちから、何生意気なことを言うてるねん。仕事してから文句言いなさいよ」とすごく怒られました。
「実際の仕事を担当して、それで文句言うんやったら聞いてあげるけど、あんた、入社したばっかりで雑用するのは、当たり前でしょうが!」と言われて、いっぺんに殴られたような気持ちになりました。
「何もしてないのに、何を文句言ってるんだろう。実際の仕事をしてみて、本当に自分に向いてないとわかったら、そこで決めてもいい」と思い直したんです。
本田:それが66年前の話ですよね! これをご覧になってる皆さんのお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんも、まだ生まれてないかもしれない時代のお話です。玉置さんが25歳の頃でしょうか?
玉置:そうですよ。
本田:今の令和の時代にも、「私、なんでこんなところで仕事してるんだろう」「つまらない仕事、嫌だな」と感じている25歳の方もいらっしゃると思いますが、玉置さんも66年前、全く同じ状況にいらしたということですね。
※本稿は『92歳 総務課長の教え』(ダイヤモンド社)の刊行を記念しての特別対談です。