「仕事がおもしろくない」「上司にうんざり」「もう会社を辞めたい!」
そんな思いが少しでもあるなら参考にしたいのが、92歳にして、現役総務課長としてバリバリ働いている玉置泰子さんの著書
『92歳 総務課長の教え』だ。
ベストセラー作家・本田健氏も絶賛する泰子さんの教えは、新入社員からベテラン社員まで即役立つ、説得力あふれる教訓と箴言が満載。「世界最高齢の総務部員」として、ギネス世界記録に認定された泰子さんが、長く幸せに働く63の秘訣を手とり足とり教えてくれる。

※本稿は、『92歳 総務課長の教え』より一部を抜粋・編集したものです。

【92歳の現役総務課長が教える】「働き方に迷ったとき」のたった2つの判断基準とは?鳴田小夜子(KOGUMA OFFICE)

「昇進」と「昇格」、どちらを志向するか

会社員のタイプには、ざっくりいうと二通りあると思います。一つは、平社員からスタートして、主任⇒課長⇒部長……と昇進を志向するタイプです。年功序列が一般的だった昭和までは、勤続年数に応じてある程度、昇進できました。上司はだいたいが年上の男性であり、同期で誰が先に昇進するかが気になったりしていた時代です。

昇進するとともに給料も少しずつ上がりましたから、それが仕事をするうえでのモチベーションの一つとなっていました。しかし、平成以降、年功序列が崩れ、成果がより重視されるようになってきました。すると、長く勤めているだけで、自然と昇進できる時代ではなくなりました。もはや、年下や女性の上司も珍しくなくなっています。

自分に適した働き方のタイプを考えてみる

もう一つのタイプは、昇進には目もくれず、自分の専門性を高めようとする人です。会社には、昇進とは別に「昇格」というシステムがあります。これは、従業員の能力に応じて、社内規定で役職とは異なる「職能資格」を与えるものです。1号、2号といった「号数(格)」が上がることを指しています。

昇格とは、年齢・性別にかかわらず、仕事を遂行する能力がレベルアップしていると認められることです。また、昇格の等級は、昇進できるかどうかの判断の一つでもありますから、一つ目のタイプと重なる部分もあります。会社に不満を感じたり、働き方に迷ったりしたら、昇進が大事なのか、それとも昇格を重んじているのか、自分がどちらのタイプなのかを一度考えてみるのもいいでしょう。

昇進はスキルアップのご褒美

以前、後輩の女性社員から「頑張っているつもりなのに、思ったように昇進できない」という悩みの相談をこっそり持ちかけられたことがありました。ところが、私が見る限り、彼女は昇進よりも昇格を喜ぶタイプです。

「あなたは自分の仕事に、けっこう自信があるでしょ?」と聞いたら、「はい、自信があります」という答えが、すぐに返ってきました。「それなら、昇進という形で評価されなくても、いいじゃない。自分の専門性を極めて、まわりを圧倒するくらい自分のスキルを高めなさいよ。それに昇進というご褒美がついてきたら、ラッキーだと思ったらいいんじゃない?」とアドバイスしたのです。すると、納得してくれたようで、彼女の表情は明るくなりました。

私もどちらかというと、専門性を高めることを志向するタイプです。肩書きや昇進を欲するのではなく、やりたいことをトコトン突き詰めたいのです。会社という組織でやりたいことを追求して、それで成長が実感できたら、それに勝る喜びはないと考えています。

※本稿は、『92歳 総務課長の教え』より一部を抜粋・編集したものです。