「仕事がおもしろくない」「上司にうんざり」「もう会社を辞めたい!」
そんな思いが少しでもあるなら参考にしたいのが、92歳にして、現役の総務課長としてバリバリ働いている玉置泰子さんの著書
『92 総務課長の教え』(ダイヤモンド社)だ。玉置さんは1956(昭和31)年に入社し、勤続66年。55歳で定年退職後は、1年契約の再雇用となり、現在も総務課長としてフルタイムで勤務している。
本書の出版にあたり、玉置さんに推薦文を寄せたのが、
累計800万部突破のベストセラー作家・本田健さんである。6月15日には『まんが 大富豪からの手紙』(ダイヤモンド社)を刊行する本田さんが、92歳の玉置さんの熱意に応え、メッセージが届けられた。
そしてこのたび、2人による特別対談が実現。収録の模様はLINE LIVE(ライン・ライブ)で配信されたが、平日午後2時からの配信にもかかわらず、視聴者4000人以上と大反響だった。その対談の模様を3回に分けてお届けする。
※本稿は
『92 総務課長の教え』(ダイヤモンド社)の刊行を記念しての特別対談です。

【特別対談 世界一の92歳総務課長Xベストセラー作家・本田健】会社員なら自覚するべきたった1つの考え方鳴田小夜子(KOGUMA OFFICE)

ずっと出世に興味がなかったワケ

【特別対談 世界一の92歳総務課長Xベストセラー作家・本田健】会社員なら自覚するべきたった1つの考え方玉置泰子(たまき・やすこ)
1930(昭和5)年5月15日生まれ。商業高校を卒業後、25歳で三興鋲螺(現・サンコーインダストリー)に入社。以来66年にわたり、経理や庶務の業務を担ってきた。現会長より11歳年上で勤続年数も長いことから、同社の歴史を知る語り部として新人研修の担当もしている。2020年11月「世界最高齢の総務部員」としてギネス世界記録に認定される。2022年5月、初の著書『92歳 総務課長の教え』を上梓した。

本田健(以下、本田):66年もお勤めされてて、玉置さんのようなお力のある方がいたら「部長にならないか?」みたいな話もあったんじゃないかと思いますが、いかがですか?

玉置泰子(以下、玉置):そうじゃないですよ。時代はどんどん進んでいくじゃないですか。ですから、その時代にふさわしい人がトップになっていくべきです。部長さんや役員さんになっていかれる方は、やはり先を読んでお仕事されてると思うんです。

私も自分の気持ちの中では先を読んで仕事をしているつもりですが、そういう能力を持った方たちが、どんどん出てきてくれるのはうれしいですね。若い人が出世していくのは、うれしくてたまりません。

本田:玉置さんご自身が部長になりたい、役員になりたい、社長になりたいという気持ちは、なかったのでしょうか?

玉置:それはないですね。私は私自身の夢を追いかけている人間ですから、出世するという夢はないんです。

人によって分かれる2つの働き方

本田:ご著書では「100歳でエッセイストになりたい」という夢をお書きになっていましたが、やりたいことがいっぱいあるんですね。普通は「部長になりたい、役員になりたい」と思いがちですが、玉置さんは、自分の役割を見失ってらっしゃらないように感じました。

玉置:誰かの応援をしてあげることができるのなら、そちらのほうに回りたいです。「この人」と思う人が出世していってくれたら、それが私の幸せです。

本田:例えば入社してくる20代、30代の人をご覧になって「この人は出世しそうだな」「この人は難しそう」というのは、パッと人を見て分かるのでしょうか?

玉置:最初は、あまりわかりませんね。はじめは皆同じですから、入社1、2年の方に対しては、そういうイメージを持ったことはありません。でも、3年、4年たってきたときに、自分の生活の安定を求めて頑張る人と、昇進を求めて頑張る人に分かれます。

真面目に働いて、生活を安定させるというのも一つの生き方であり、出世コースを選んで自分に叱咤激励するというのも一つの生き方です。人それぞれ歩むコースは違いますし、違っていいんじゃないでしょうか。ただ、会社としては未来を創ってくれる人を適職に就けるのが義務だと思います。

※本稿は『92 総務課長の教え』(ダイヤモンド社)の刊行を記念しての特別対談です。