「仕事がおもしろくない」「上司にうんざり」「もう会社を辞めたい!」
そんな思いが少しでもあるなら参考にしたいのが、92歳にして、現役総務課長としてバリバリ働いている玉置泰子さんの著書『92歳 総務課長の教え』だ。
ベストセラー作家・本田健氏も絶賛する泰子さんの教えは、新入社員からベテラン社員まで即役立つ、説得力あふれる教訓と箴言が満載だ。
「世界最高齢の総務部員」として、ギネス世界記録に認定された泰子さんが、長く幸せに働く63の秘訣を手とり足とり教えてくれる。
※本稿は、『92歳 総務課長の教え』より一部を抜粋・編集したものです。
時代の変化に対応することを意識
時代が変化するスピードは、年々速くなっています。私のような年齢になると、さすがについていくのが大変なところもありますが、変化に対応できずにいると恐竜のように絶滅しかねません。そのため、私は「急がないでコツコツやる」と自分に言い聞かせて、焦らないようにしつつ、変化に対応することを意識しています。
変化のスピードが速くなってくると、何事にも“はやい”対応が求められる場面が増えるようになります。この“はやい”には、「速い」と「早い」という2つの意味があります。「速い」というのは、同じ時間内で処理するスピードが速いという意味であり、「早い」には、時期が早いという意味があります。
自分自身の特性を踏まえる
人間には、「速い」のが得意なテキパキ型もいれば、「早い」のが得意なコツコツ型もいます。私自身は、どちらかというと「早い」のが得意なコツコツ型だと思っています。
変化のスピードが速くなったからといって、全員が「速い」テキパキ型にならなければいけないわけではありません。自分自身の特性を踏まえて、変化に適応するように心がけたらいいのです。そうでなければ、今後、変化の速さがそれこそ加速度的にアップしていったら、中高年社員は働き続ける余地がなくなるという発想が生まれかねません。私は、そうではないと思うのです。
処理スピードが速いテキパキ型でも、グズグズして着手するタイミングが遅くなったら、納期までに質の高い仕事ができないことも考えられます。これは、まさに寓話『ウサギとカメ』の“ウサギの状態”です。
着手するタイミングがカギ
私は読書をするのが好きなのですが、世の中のビジネス書の多くは、効率を重視するテキパキ型になることを推奨しているように思えます。ですが、効率的に処理できても、最終的に質の高い仕事ができなかったら、なんにもなりません。
私のように処理スピードは速くないコツコツ型でも、着手するタイミングを早めて地道にやれば、締め切り前までに質の高い仕事が仕上げられます。単純な話、朝10時からはじめて、その日の午後5時までに終わらないと思ったなら、朝9時に出社して着手すればいいのです。『ウサギとカメ』のカメの戦略です。
締め切りというゴールまでに質の高い仕事をする
コツコツ型よりテキパキ型のほうが一見するとスマートに映るでしょうから、そちらに憧れる人が多いかもしれません。テキパキ型でコツコツやれたら最強ですが、私が長年仕事をしてきた経験を踏まえると、テキパキ型はコツコツやることが苦手なケースが多いようです。対照的に私のようなコツコツ型には(手前みそと思われるかもしれませんが)、誠実に仕事に向き合うタイプが多いような気がしています。
仕事は、陸上のトラック競技や競泳といったスポーツのように、タイムを競っているわけではありません。締め切りというゴールまでに、質の高い仕事をすることが求められます。テキパキ型なのか、コツコツ型なのかは、自分自身でわかるはずです。それぞれの適性を存分に活かしながら、ビジネス環境の変化にしなやかに対応するように心がけることが大事でしょう。
※本稿は、『92歳 総務課長の教え』より一部を抜粋・編集したものです