書くスキルだけでは
生き残りは難しい

 こうしたメリットを感じ、転職先や副業としてライターの仕事を選ぶ人も増えつつあるという。

 しかし木村氏は「ライターの数が増えて競争が熾烈になる中、今後は生き残れないライターも一定数出てくるだろう」と予想する。

「ライターの仕事の中には、『1文字で○○円』といった文字単価の依頼もありますが、これらの案件は多くの場合、報酬や低く、それだけで生計を立てるのは難しいです。業界の第一線に立つには、ライティングだけでなく、企画力や取材力といったスキルも伸ばしていかなくてはいけません」

 ライターへの依頼自体が少ないわけではないというが、発注者や編集者の意図をうまくくみとりつつ、読者ニーズの高い原稿をまとめるスキルを持つライターは、そう簡単に見つからない現状がある。

「特に、これからライターを目指す人に注意してほしいのは、ライターは作家と違い、自分の世界観を表現する仕事ではないということです。ライターのあるべき姿は、発注元である編集者の要望に応じて、読者に求められる企画を立て、原稿にまとめることです。もちろん自分の関心分野に携われる案件もありますが、それだけで生活できるのはほんの一握りの人でしょう。何かに特化した専門性を持つと役立つこともありますが、一方で、読者ニーズが変化したら一気に仕事がなくなる可能性もあります。興味関心が広く、学ぶ意欲がある人が生き残れる仕事ともいえますね」

 どんな仕事でもいえることだろうが、ライターとして生き残るためには「この仕事がしたい」という気持ちのみならず、顧客に求められるスキルを積極的に磨き続ける向上心が必要なようだ。