「2021年もっともブレイクした人」と言っても過言ではない、ひろゆき氏。
彼自身、今のブームをどのように捉えているのか。どのような戦略があったのか。
また、今後ブレイクするための条件は何なのか。
全7回にわたって、本人が自ら語る「ひろゆき徹底解剖」をお送りする。5回目は、「これから有名になりたい人」に向けて、今すぐやるべきことについて聞いた。(構成:種岡 健)
「あなたのことは誰も見ていない」
――前回までの話で、炎上するリスクとその予防策について、詳しく話を聞きました。では、これから活躍する人の特徴とか、「有名になりたい人」へのアドバイスを聞ければと思うのですが。
ひろゆき氏:感覚として持っておいたほうがいいのは、スマホの登場により、僕たちはどんどん「我慢」ができなくなっているということです。2時間の映画を見るのも億劫ですし、ましてや興味のない人であれば10分の動画を見るのも苦痛に感じるはずです。
だから、「あなたのことはまず、誰も見ていませんよ?」というところから考えないといけないわけです。
今のトップユーチューバーを見ていると、作り込んだコンテンツで長い時間を見せたほうがいいように見えるんですが、これはもうマネできない領域に入っています。
――人気ユーチューバーのモデルは、これからやるにはハードルが高いんですね。
ひろゆき氏:はい。元々、動画は「3分以内がいい」「短ければ短いほどいい」と言われていたんですよね。ユーチューブで収益化の仕組みができた頃から、ずっとそれが定石でした。
ところが、一部のユーチューバーが「タレント化」してしまって、それによって「長尺動画のほうが儲かる」ということがブームになってしまったんですね。ファンにとっては、ずっと同じ人の顔を見続けると、どんどん親近感が湧いて好きになりますから。
でも、それは一時期のブームなんですよね。やっぱり人は、飽きやすくて、我慢できない性質のほうが大きいわけです。それに最適化したのが、「切り抜きブーム」だったわけで。
「バカにされる」「イジられる」を許せるか?
――なるほど。これから世に出ていこうと思っている人は、「切り抜き」に適応していったほうがいいんですかね?
ひろゆき氏:そうですね。飽きられやすいということは、反対に、「どんどん新しい人に目移りしてくれる」というチャンスでもあります。ただ、それによるジレンマは、この連載の1回目でも語ったとおりなんですが、ある程度の専門性がある人なら、切り抜きを想定したほうがいいと思います。
そして、これがすごく大事なんですが、切り抜かれるときに、「ヘンなプライド」とか「セルフブランディング」は邪魔になってくるんですよね。なぜなら、「こう見られたい」「こう伝えたい」という思いがあると、素人による勝手な編集は我慢できないですから。
――サムネイルとかタイトルでイジられたりネタにされたりもしますしね。
ひろゆき氏:はい。それでも、「自分の語っていることを面白がってくれるのなら、発言が一人歩きしてもいい!」と思える人が、ようやく有名になれるんだと思います。
自分のイメージを自分でコントロールしながら、上手に世の中に出て行ってブレイクするなんて、ほぼ不可能ですから。そういう人は、いまいちブレイクしないまま自分の世界とか限られた業界の中で生きていったほうが幸せです。
ほら、たとえば、東京大学の教授とかで、大衆向けの本を出したりテレビでコメンテーターをすると学会からバカにされる……、みたいな話があるじゃないですか。狭い世界で人の目を気にするのがイヤなら、人気者にはなれないんですよね。
――なるほど……。相当なプライドを捨てないと、これからは世に出られないということですね。