【ベルリン】ドイツ政府は、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の中国での投資に対する保証の更新を拒否した。このことは、国際関係において政治より貿易を長らく優先させてきた同国が転換点を迎えていることを示している。
ドイツ政府がVWの申請を拒否した背景には、中国政府によるイスラム教徒の少数民族ウイグル族の扱いがある。中国はドイツにとって最大の貿易相手国だが、この動きは中国を含む権威主義政権に対して一段と厳しい姿勢で臨むとするドイツ新政府の約束に沿うものだ。
この決定は公式に発表されたものではないが、事情に詳しい複数の人物が確認している。ドイツ企業が中国での活動をやめる可能性は低いとみられるが、事業のリスクは高まる。中国に投資するドイツ企業への支援と、中国政府によるウイグル族の扱いとをドイツ政府が関連付けたのは初めて。
ドイツのロベルト・ハーベック経済・気候保護相は「ウイグルに対する強制労働と虐待を前にして、われわれは新疆でのいかなるプロジェクトにも保証を提供することはできない」と述べている。