ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
スーダンってどんな国?
スーダンはアフリカ大陸北部に位置する国です。広大な国土を持ち、面積はアフリカ大陸の中で第3位です。
北部は砂漠ですが、南部に進むと、雨季と乾季のある気候に移っていきます。首都ハルツームは、青ナイル川と白ナイル川の合流点に位置し、周辺の肥沃な農地では灌漑農業が行われています。青ナイルはエチオピアのタナ湖、白ナイルはケニア・タンザニア・ウガンダの国境ヴィクトリア湖を水源とする河川です。
南部に油田地帯があり、そこで産出した石油はハルツームを経て、紅海に面した北東部の港ブールスーダンまでパイプラインで運ばれています。
内戦が続き、世界最大級の人道危機に
1899年からイギリスとエジプトの統治を受け、1956年に独立しました。
イスラームが国教で、イスラーム法による国づくりが進められました。ムスリムは人口の7割を占め、ほとんどは北部に居住しています。
一方、キリスト教は南部に広がり、独立時、両地域は一つの国に統合されていましたが、南北対立による内戦が40年にもわたって続きました。
その結果、2011年に南部は南スーダン共和国として独立。油田の多い地域であった南部の独立で、スーダンの油田は減少することになりました。
また、2000年代には西部のダルフール地方で、アラブ系民族とアフリカ系諸民族の対立が内戦に発展。死者約30万人、難民・避難民約200万人という世界最大級の人道危機へと拡大し、不安定な状況が続いています。
スーダン共和国
面積:186.1万㎢ 首都:ハルツーム
人口:4675.1万 通貨:スーダン=ポンド
言語:アラビア語(公用語)、英語(公用語)、ヌビア語
宗教:イスラームスンニ派が多数
隣接:エジプト、エリトリア、エチオピア、南スーダン、中央アフリカ、チャド、リビア
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)