「いきなり過去問を解く」が最強の勉強法である

「勉強したいのに、毎日忙しくて時間が確保できない」という人にぜひ読んでもらいたいのが、『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』だ。働きながら3年で、9つの資格に独学合格した著者・棚田健大郎氏の「大量に覚えて絶対忘れないノウハウ」を詰め込んだ1冊だ。
1年間必死に勉強したにもかかわらず、宅建試験に落ちたことをきっかけに、「自分のように勉強が苦手な人向けの方法を編み出そう」と一念発起したという棚田氏。苦労の末に「勉強することを小分けにし、計画的に復習する」しくみ、大量記憶表を発明したという。本書の発売を記念し、特別インタビューを実施。効率的な勉強法について聞いた。(取材・構成/川代紗生)

「無駄になりやすい勉強法」とは?

──「多くの人がやりがちで、無駄になりやすい勉強法」についても、教えてください。

棚田健大郎(以下、棚田):私が不合格になったときにやっていた勉強法で、おそらく私以外にもかなり多くの人がこのやり方を採用しているのではないかと思います。それは、「買ってきた参考書を頭から通して読んで、読み終わったら徐々に過去問題集の問題を解いていく」というものです。言ってみれば、参考書と過去問題集という一本道のレールの上を、ただ前進するだけの単純なやり方ですね。

──えっ!「参考書を読み込んで覚える→問題集を解く」って、ものすごくオーソドックスな勉強法ですよね。

棚田:でも、このやり方に大きな問題があったんです。記憶力が高い人ならば、一度参考書の内容を覚えられれば、しばらく復習しなくても済むかもしれません。けれど、私のように勉強が苦手な人は、一度覚えても3日も経てばすぐに忘れてしまいます。

参考書を頭から通して読み、「一通り終わったから、最初の項目の問題を解いてみるか」と、思いついたときに復習してももう遅い。ほとんどの記憶が抜け落ちているので、当然、問題も全然わからず、「あんなにやったのに」と落ち込む。結果、やる気はなくなるわ、また同じ単元をやり直さなきゃいけないわで、いいことがありません。

──なるほど……。言われてみれば以前、試験勉強をしていたとき、「時間をかけて勉強したのに覚えられないなんて、私はなんて頭が悪いんだろう」と落ち込んだことを思い出しました。

棚田:合格できないのは自分の能力が低いからだ、と思って挑戦する気を失ってしまう人、本当に多いんですよ。でも、違うんです。学習の進め方に問題があるんです。

大抵の人は、「どうやって知識を覚えるか?」に焦点を当て、がむしゃらに勉強してしまいます。私も最初はそうでした。でも、よくよく振り返ってみると、覚えること自体はできているんですよね。

ところが、翌々日になると「どっちがどっちだっけ」と曖昧になり、さらに1週間後になると、もうほとんど思い出せないくらいになってしまう。つまり、覚えられないのではなく、覚えた知識を忘れてしまうのが問題なんです。

絶対忘れないための突破口は「落語家」の記憶法にあった

──それで、「覚えた知識を忘れない」ために考案されたのが、書籍の中で紹介されていた学習法ですよね。どうやってこの手法を思いついたのでしょうか。

棚田:「参考書を頭から通して読んで、読み終わったら徐々に問題集の問題を解いていく」というやり方だと、どうしても忘れてしまう。ずっと記憶し続けておくためにできる方法はないかといろいろ調べていたとき、ふと、「そういえば、落語家の方はとても長い落語を暗記しているけれど、どうやって覚えているんだろう」と気になったんです。

──たしかに、30分以上の長い落語もありますよね。落語家の方は皆、記憶力がすごいんだなあと思っていましたが……。

棚田:でも、いろいろ調べていたら、落語家の立川談笑さんが、落語の記憶法について紹介する動画を見つけたんですよ。その記憶法を知ったときに、「これだ!」と思って。

簡単にまとめると、落語を一定の段落ごとに分割し、小分けにする。その小分けにした落語を少しずつ覚えていく、というやり方でした。さらに、前日覚えた部分を翌日に復習して思い出す。記憶が定着してきたら、思い出す間隔を徐々に長くしていく。最終的には、月に1回思い出せば忘れなくなるレベルになる、と。

──それを、ご自身の勉強に応用させ、誕生したのが「大量記憶法」だったんですね。