2019年4月に罰則つき残業規制がスタートすることもあり、「働き方改革」は喫緊の課題となっている。そんななか、プレッシャーが増しているのがプレイングマネジャー。個人目標とチーム目標を課せられるうえに、上層部からは「残業削減」を求められ、現場からは「仕事は増えてるのに…」と反発を受ける。そこで、1000社を超える企業で「残業削減」「残業ゼロ」を実現してきた小室淑恵さんに『プレイングマネジャー 「残業ゼロ」の仕事術』をまとめていただいた。本連載では、本書のなかから、プレイングマネジャーが、自分もチームも疲弊せずに成果をあげるノウハウをお伝えしていく。
整理整頓で「1ヵ月分のムダ」が消える
職場の「働き方改革」は”小さなこと”から始めるのがコツです。
そして、私たちが1000社を超える企業のコンサルティングをしてきた経験から、「劇的な効果がある」と断言できる”小さなこと”があります。意外に思われるかもしれませんが、それは「整理整頓」です。誰でも「やればできる」ことであるのですが、その効果は「劇的」と言っても過言ではありません。
これまで私たちがコンサルティングをしてきたなかで、最も多かった問題のひとつが、「資料など、何かを探している時間が多い」ということ。実際、「ビジネスパーソンは探し物に年間150時間を費やしている」という研究結果もあります。
一日あたり7・5時間働いているとすれば、実に年間20日分に相当する時間―土日を除けばほぼ1ヵ月分に相当します―を、ただひたすら探し物に費やしている計算になります。この問題の最大の解決策が整理整頓です。数時間かけて整理整頓をすれば「約1ヵ月分」がまるごと浮くのですから、やらない手はありません。しかも、難しい技術も、他社との交渉もいらない、誰でもできる「小さなこと」です。
「働き方改革」は「難易度が低く効果が高いこと」から着手するのが鉄則。であれば、最もハードルの低い整理整頓からスタートするのがベストということになります。
そのメリットは、「探す時間が減る」ことだけではありません。メンバーで力を合わせて職場の整理整頓をやり遂げれば、それだけでスッキリしますし、達成感も共有できます。それに、人間は、目で見て確認できることに対して、とても変化を感じやすい特徴がありますから、整理整頓で「見える風景」が変わることによって、「自分たちには変化を起こすことができる」という自信も生まれます。
整理整頓は、まさに“一石三鳥”のアクションなのです。