アジャイル仕事術の何が有益なのか?
私はアジャイル開発と出会って以来、システム開発のみならず、数多くのビジネス現場で私なりに工夫してアジャイル仕事術を実践してきました。
例えば、東南アジアでの新規事業を検討しているクライアント企業のプロジェクトでは、キックオフ会議で初期仮説を考えた後、翌週にはクライアント企業の担当者とともに東南アジア諸国に飛ぶなど俊敏さを意識していました。担当者と50社以上の現地企業を訪問し、初期仮説を何度もブラッシュアップしたことによって、具体的な現地企業との提携による独自性および適応力の高いビジネスモデルの構築を実現することができました。
また、ある企業再生の案件では、現場に入り込んでコスト削減などの止血をしながら、現場メンバーと連携しながら再生計画を作成しました。結果として、素早いアクションにつながっただけでなく、現場メンバーとの共創により再生計画を実行することができたので、早期の黒字化に成功しました。
現在、私はIGPIシンガポールという経営コンサルティング会社の取締役CEOとして、グローバル企業や現地企業、政府機関のアドバイザーをしています。8国籍のメンバーとともに東南アジア全域での新規事業開発や経営改革を支援しています。
本連載では私自身や、グローバルで活躍するプロフェッショナルたちの事例を交えながら、アジャイル仕事術についてできるだけ具体的に解説していきます。
本連載を通してアジャイル仕事術を身につけ、答えのない時代をたくましく楽しく生き抜いていくためのヒントを得てもらえたら幸いです。
株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)、IGPIシンガポール取締役CEO
早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA)。
大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト&ヤングに入社。日本コカ・コーラを経て、創業期のリヴァンプ入社。アパレル企業、ファストフードチェーン、システム会社などへのハンズオン支援(事業計画立案・実行、M&A、資金調達など)に従事。その後、支援先のシステム会社にリヴァンプから転籍して代表取締役に就任。退任後、経営共創基盤(IGPI)に入社。
2013年にIGPIシンガポールを立ち上げるためシンガポールに拠点を移す。
現在は3拠点、8国籍のチームで日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。
IGPIグループを日本発のグローバルファームにすることが人生の目標。
細谷功氏との共著書に『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考』(ダイヤモンド社)がある。
『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社、2022年6月29日発売)が初の単著。