株式投資について学び始めた京大生が、経済の行方やマーケットについて、伝説のファンドマネジャーといわれる林則行氏(アブダビ投資庁の元ファンドマネジャー)に指南を受けた。そのやりとりを1冊の本にまとめたのが『投資初心者の大学生が伝説のファンドマネジャーに聞く 世界が大不況でも資産を増やせるって本当ですか?』だ。今回は同書の刊行を記念して、内容の一部を特別公開!

Photo: Adobe StockPhoto: Adobe Stock

マネーの価値に反比例して
金価格が上がる

経済低迷の厳しい時代に、金が値上がりするって本当ですか?林 則行(はやし・のりゆき)
世界最大の政府系ファンド、アラブ首長国連邦アブダビ投資庁の元ファンドマネジャー。当時、日本人で唯一、中東でオイルマネーを運用した投資のプロ。米国コロンビア大学ビジネススクールにてジム・ロジャーズの薫陶を受ける。米国公認会計士。著書に『伝説のファンドマネージャーが教える株の公式』『伝説のファンドマネージャーが実践する株の絶対法則』(共にダイヤモンド社)、『金はこれから2倍になる』『伝説のファンドマネジャーが教える 図解 株の暴落サインを見抜く方法』(共に宝島社)などがある。

佐藤隆太郎(以下、佐藤) 厳しい時代がくるなかで投資先はありますか?

林則行(以下、林) 金(ゴールド)が最善です。厳しい時代には金が値上がりしています。ただし、これを投資と考えないでください。

佐藤 金を買うのが投資ではないとは、どういう意味ですか?

 「金を買う」というよりも、「現金を金に換えておく」という考え方が適切です。

 現金は安全ではありません。政府がマネーを刷りまくっているので、経済の規模があまり変わっていないのにマネーがだぶつき、マネーの価値が下がります。だから、価値の下がらないものに換えておくということです。

 海外旅行(例:米国)に行くときに、円をドルに換えておきますよね。旅行が終われば、残ったドルは円に戻します。同じように、危機の時期には円から金に換え、危機が過ぎたら、また円に戻します。