林 金の生産量は重要です。野菜と似ています。天候不順で不作になれば価格が上がり、反対に豊作になれば値段が下がりますよね。
同じように金も生産量が増えると価格が下がり気味になり、減産になると価格が上昇します。もちろん、金は野菜のように消費されません。
今後、数年間減産が予想されます。金価格が低迷していた2013~18年は新規の鉱山開発が停止してしまったからです。価格が上昇軌道に乗った2019年、新規投資を再開したもようですが、それが実を結ぶには5~6年はかかります。その間は減産基調でしょう。これは金投資家にとって朗報です。
佐藤 金にとってマネーと生産量とでは、どちらがより大事ですか?
林 マネーは金の長期的な動きに影響し、金の生産量は中期的な動きに影響すると考えてください。私たちは今、時代の大きな転換点(マネーの価値が暴落するという大波乱期)にいます。一般の投資家の方はマネーだけに注目すれば十分です。投資経験の長い方には、加えて生産量の変化も見ることをお勧めします。
佐藤 金価格とマネーの伸びが同じだとすると、今後も金価格は7%内外しか上がらないということでしょうか? 世の中が大波乱に見舞われるときに暴騰しないのではないでしょうか?
林 大波乱の時代となり、人々がマネーの価値を信用しない時期がきたら、その時点でマネーと金価格との相関は終わります。人々がマネーの価値が今までの半分しかないと判断し始めたら、インフレで物価が2倍になります。このとき、金は本物のお金として機能し、価格が2倍(またはそれ以上)になります。