松下幸之助の教えは21世紀でも通用する
私が20代半ばの頃、当時所属していたコンサルティングファームのリーダー研修のときの体験談です。世界中から新任リーダーが集められ、さまざまなリーダーシップ研修を受けた中での「経営論」の講義のときのことでした。
「世界で一番優れた経営者は誰だと思いますか?」とアメリカ人の講師が全員に尋ね、参加者たちが当時の世界的に有名な経営者の名前を次々と挙げていったのです。
私もここはウケをとらなければと思い手を挙げて、「コウノスケ・マツシタだと思います」と答えたのです。
すると、その講師はパンっと手を打って「そうなのです」と言って、そこから英語で松下幸之助の講義が始まったことがあります。場所はバルセロナ、講師はボストンの研究者で、1980年代後半の話です。
日本経済の台頭と大幅な円高、そして日米貿易摩擦で日本がアメリカを買い取ってしまうのではないかと危惧された頃の話。この時代、アメリカ人は真剣に日本の経営理論を学んでいたのでした。
「経営の神様」と言われるぐらいなので、松下幸之助の経営論のエピソードは山ほどあります。今回は、若い読者の方もあらためて興味を持てるように、「21世紀の今でも十分に通用する松下幸之助の教えとは何か?」というテーマで、彼の三つの「教え」を記事にしてみたいと思います。