大勢で協力するチームスポーツと自分のペースで進められる個人スポーツ。メリットはそれぞれだが、どちらにより幸せを感じるだろうか。近年、その効果に注目が集まっている「オキシトシン」は、「幸せホルモン」とも呼ばれているホルモン。オキシトシンは人とのコミュニケーションとの関連性が高いのが特徴だ。書籍『シリコンバレー式超ライフハック』(デイヴ・アスプリー著、ダイヤモンド社)を参考に、オキシトシンの分泌を促すポイントとスポーツの関係性について考察する。(文/フリーライター 鈴木 舞)
幸せホルモン「オキシトシン」の
新たにわかってきた作用とは
オキシトシンとは、9個のアミノ酸で構成されるペプチドホルモンだ。パートナー間や親子間の絆、または信頼の形成に関して、オキシトシンが重要な役割を果たすことが解明されている。
オキシトシンが持つ中枢作用には、抗不安作用や抗ストレス作用といったメンタルへの影響が期待されている。体の不調改善効果としては、鎮痛作用や循環器系の調節、免疫調節が挙げられる。さらに、摂食抑制やアルコール摂取抑制など飲食のコントロール、生殖行動や学習・記憶にまでオキシトシンが影響しているという。(参考:『オキシトシンと加齢』大野重雄他)
一昔前までは、オキシトシンは授乳時に分泌されるホルモンであると認識されていた。そのため母性愛との結び付きが強いホルモンと考えられていたが、研究が進むにつれて、オキシトシンは性別や年齢に関係なく分泌されることがわかってきた。
オキシトシンの分泌が促進されるのは、主に身体的なスキンシップやボディタッチを介したときだ。手をつないだりハグをしたりすると、オキシトシンは分泌されやすい。
一方で、身体的なコミュニケーションを介さなくても、オキシトシンが分泌されるという研究も報告されている。一緒に会話を楽しんだり、視線を交わしたりすることでもオキシトシンは分泌されるという。